2018 Fiscal Year Research-status Report
生命現象を可視化し体験するライフサイエンス・バイオイメージング実習の構築と汎用化
Project/Area Number |
16K01004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沼山 恵子 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (30400287)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 実習教材開発 / バイオイメージング / ライフサイエンス / 生命現象の可視化 / 画像診断実習 / 次世代人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々な生命現象を可視化して体験する実習の構築と実践により、医療工学・生命科学分野の人材育成に資することを目的とする。 平成30年度は、既に構築した実習コースを実践するため、トランスグレード実習講座を学部初年次の全学教育科目・基礎ゼミとして開講し、高校生・大学院生・社会人も交えて5月に蛍光顕微鏡組立実習、6月にウズラ胚の実体顕微鏡観察と研究発表会を実施した。高校理科教員対象のサイエンス・リーダーズ・キャンプ(SLC)は8月に3日間開講し、無細胞タンパク質合成系でのGFPの転写・翻訳と近赤外蛍光イメージングによるIn Gel Western分析を軸とする生命科学実習と、蛍光顕微鏡組立実習を実施した。秋休みに高校理系選択者の校外研修受入、2月に中高一貫校の科学部員対象の医工学体験講座を行い、全国各地のSLC受講者勤務校への顕微鏡観察用教材(遊泳微細藻類)配付も継続した。 医用イメージングの試行実習として、11月に社会人技術者が病態モデルマウスの画像診断を体験できる機会を設け、11名から意見を聴取した。新規購入した小型超音波診断装置・血流観察用顕微鏡と既存の小動物用MRIを用いて、特殊餌摂取による非アルコール性脂肪肝炎モデルを撮像したが、正常の肝臓と脂肪肝の見極めが想定より難しく、限られた時間内で画像診断の基礎を学ぶには、健常マウスの全身を撮像し主な臓器を同定するだけで充分であることが判った。SLC生命科学実習の中高生向けの汎用化も進め、基礎知識の講義と大学生を加えたグループワークを追加して、12月に中等教育学校の理科実験室を会場に転写・翻訳・タンパク質の電気泳動の実験講座を2日間開講し、大変好評であった。 研究成果の社会還元のため夏休みに開催した「ひらめき☆ときめきサイエンス」は受付開始から2週目で満席となり、8県・17校の高校生が生命科学・医療工学を体験した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体験に基づくライフサイエンス分野の啓蒙・普及を図る各種実習コースの構築については計画以上に進展し、実践の段階まで進んでいる。遅れていた医用イメージング(画像診断)実習についても実習書を作成し、実際に疾患モデル動物を用いた試行実習を行って受講者からのフィードバックを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
医用イメージング(画像診断)実習に使用する動物について再検討し、雌雄や週齢、妊娠状態などの異なるマウスを用いた予備実験とプロトコール・実習書作成を進め,試行実習を行って実習コースを構築する。これまでに開発してきたライブサイエンス・バイオイメージング実習を引き続き実践し、「ひらめき☆ときめきサイエンス」事業(申請中)も活用して研究成果の社会還元にも取り組む。
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Causes of Carryover |
前年度未使用額は当初の計画通り、画像診断装置の購入と病態モデルマウスの購入・飼育費用に充当したが、ゼブラフィッシュの飼育環境は共同研究先に整備され、本研究経費による導入の必要がなくなったため。 使用時期が計画より遅れているが、未使用額は研究計画調書に計上した培養細胞のタイムラプス観察用サーモプレートの購入の他、実験動物の購入・飼育費用、実習用の薬品・試薬等の消耗品費、実習補助の学生謝金等に有効活用し、開講する実習コースの充実を計る。
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