2017 Fiscal Year Research-status Report
肥前色絵磁器に用いられた上絵具の化学的特性と材質変遷に関する研究
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16K01177
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| Research Institution | Tokyo Gakugei University |
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Principal Investigator |
新免 歳靖 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (40759156)
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2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 色絵磁器 / 上絵具 / 磁器胎土 / 七宝釉薬 / 肥前有田 / ICP-OES / XRF / XRD |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、昨年度から引き続き、佐賀県有田町の窯焼きの工房跡である中樽一丁目遺跡・泉山一丁目遺跡から出土した磁器原料類の自然科学的調査を行ない、磁器原料の製土工程を推定した。あわせて、この磁器原料との比較を行なうために、同遺跡から出土した磁器製品と未成品（素焼き）の化学分析を行い、磁器製作工程による化学組成の変化を調査した。
消費地遺跡から出土した色絵磁器の研究のため、東京大学構内遺跡から出土した17世紀中頃から後半の色絵磁器を借用した。ただし資料の借用が遅れたため、実際に実施できた調査は色絵具部分の調査のみに留まっている。また、色絵磁器については、近世・近代における色絵具の調合に関する文献調査を行なうとともに、文献の調合に基づいた色絵具の製造実験を行なった。また、近世以来の伝統を引く有田町の色絵磁器工房の聞き取り調査や、同工房から提供された色絵具原料などの科学的調査を実施した。
また、今年度から、色絵磁器製作技術の比較として、七宝焼釉薬の研究を開始した。日本の近世から近代磁器の色絵具と同時期の七宝焼釉薬には技術的・材質的な類似性がきわめて高い。そのため、日本における七宝焼技術の起源と展開を明らかにすることは本課題の遂行にとっても意義がある。今年度は明治期に記された文献の中から七宝釉薬に関する記載の整理を行なった。その中でも、明治の七宝家である塚本貝助とその一族が記した文献資料の翻刻作業を進めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度に使用予定であった蛍光X線分析装置が故障し、修理に時間と予算がかかり、研究の実施に遅れが生じた。平成29年度はその遅れた分の研究を実施した。しかし、分析資料の借用に時間がかかり、研究の実施が遅れたため、昨年度の遅れを取り戻せていない。また、今年度から色絵磁器の比較資料として当初の研究計画になかった七宝釉薬に関する研究も開始したため、全体的に遅れが生じている。そのため、「やや遅れている」と判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度は色絵磁器製品の色絵具層について、放射光施設を利用し、より詳細な化学組成の調査を実施する。色絵磁器の色絵具層は釉薬上に焼き付けられ、色絵具層と釉薬層が融着しているが、その界面部分の研究はほとんどなされていない。色絵具の保存性や発色に対して釉薬がどのように影響しているかを検討する予定である。あわせて、色絵磁器については、胎土・釉薬・染付顔料などの化学分析、文献調査、色絵具の製造実験、色絵磁器工房の聞き取り調査などを継続して実施し、これまで個別の調査・研究に留まっていた色絵磁器について、総合的な研究を行なう。
今年度から近世・近代七宝焼釉薬の研究を加えた。特に近代の七宝焼釉薬は近世以来の色絵陶磁器の技術を基盤にしている可能性が高い。そのため、色絵磁器と七宝焼の技術的な関連性を文献調査や化学分析から解明することを目的とした研究を実施した。これまでに京都や東京の七宝家の調査を実施してきたが、本研究では尾張七宝に注目し、幕末から近代にかけての七宝焼技術の起源と発展を追いかける予定である。
来年度は最終年度であるが、本研究を通して様々な成果と課題が得られている。そこで、これまでの成果の取りまとめを行ないつつ、本研究の継続に向けた課題の整理を行なう。
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| Causes of Carryover |
当該年度に外部の実験施設での実験を計画していたが、対象資料の借用が送れ、実験を実施できなかった。残額はその旅費および謝金として見積もっていたものである。対象とする事件は次年度に実施するため、そこで旅費および謝金として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
