2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01264
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
浦谷 規 法政大学, 理工学部, 教授 (80126268)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長寿リスク / 長寿債権 / 長寿スワップ / リスク最小ポートフォリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化による年金問題に対する有力な緩和策の1つは、長寿デリバティブの活用である。寿命に対する非システム的リスクに対する金融工学的デリバティブが再保険会社や投資銀行によって展開している。その基礎は生存確率の確率過程によるモデル化であり,金融工学で発展してきた債券価格理論の応用分野である。長寿スワップ (Longevity Swap)あるいは, 長寿債券(Longevity bond),その先渡し価格などは、金利の期間構造モデルを生存確率の構造に拡張した年金保険価格モデルで解析可能ある。研究では Longevity Swap を中心にした保険会社のリスク管理の理論にLongevity Bondを含めた拡張したポートフォリオによるヘッジ戦略を研究した。Longevity Bond は Up-front に資金を必要とする欠点があるとされるが、年金の長期的な運営期間では割引価値が十分小さくなり、初期費用によるポートフォリオ組み込み可能性の困難性はないこともわかった。年金基金企業のリスクは加入者の長寿リスクが一般の生存率より大きくその変動リスクも大きいことにある。このことがもたらす Unsystematic Riskは対数の法則によってリスク削減しかできないが、コホートごとの生命表の基礎となる人口規模の年金規模は民間企業では困難である。そのためリスク最小には Minimal-Martingale測度によるポートフォリオの費用最小化問題を定式化し、そのシミュレーションを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
あるコホートに対する年金保険のリスク管理を割引債権、長寿債券、長寿スワップ、安全資産からなるポートフォリオによってリスク管理を行うとき、対象コホートの生存確率プロセスが長寿デリバティブの仮定するパラメータと一致するプロセスであるならば、完備性が成り立ち、そのヘッジリスクは無くなる。一般にはこの完備性は成り立たないので、ポートフォリオのコスト関数の最小化を行う。この時長寿スワップの保有によってもUnsystematic Riskは回避できない。したがって長寿債券有用性が情報公開性から強調する OECDペーパーと同じく導ける結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究はコホートを固定したモデルであるが、年金保険は多くのコホートの複合であるから、2つ以上のコホートに対する長寿リスク管理問題を考える。
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Causes of Carryover |
今年度末に完成したシミュレーションプログラムを用いて理論的考察をまとめた研究発表を次年度に複数回海外で行うことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションプログラムが長期間で多くの確率的パスを発生させるために、プログラムの高度化とマンパワーを要するので大学院生に計算の処理の補助のために予算が必要である。また、研究成果を海外の学会で何度か発表するための費用として計画している。
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