2016 Fiscal Year Research-status Report
津波避難計画に関する地域モデルの構造化と体系化に関する研究
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16K01344
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
照本 清峰 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (10416399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 一弘 和歌山大学, 学内共同利用施設等, 講師 (60516459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 津波 / 避難計画 / 沿岸部 / 避難行動要支援者 / 南海トラフ地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016度は、和歌山県みなべ町、印南町、御坊市、及び海南市の沿岸部のモデル地区を対象として、地域と連携して津波避難対策の検討に取り組んだ。特に、地震発生後における津波の危険性に対して困難になることが予測される避難行動要支援者の対応ルールを形成する方法を検討した。具体的には、津波避難対策の検討に関するワークショップを複数地区で複数回を実施するとともに、それらの成果をとりまとめた。またワークショップの実施過程において実践的な津波避難訓練を実施し、課題の検討素材を得た。ここでの実践的な津波避難訓練とは、地震発生後の状況を想定した訓練と位置づけられる。ワークショップ及び津波避難訓練においては、地域の特性を考慮するとともに、比較評価しながら設計・実施に取り組んでいる。 上記に関連して、印南町、御坊市、海南市の各事例地区において、津波避難訓練実施後において訓練参加者を対象とした質問紙調査を実施した。調査項目は、避難訓練時の対応行動、津波からの避難時における避難方法、南海トラフ地震に対するリスク認知、避難行動要支援者への支援に関する認識等である。これらをもとに、避難訓練時における課題を検討した。調査結果においては、訓練時においても津波到達予想時間よりも遅く避難場所に到着する参加者は一定程度見られること、それらの多くは高齢者層であること、地震及び津波のリスク認知と避難の課題に関する認識には相関性が見られること、等が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数地区でワークショップを実施するとともに津波避難訓練時に調査を実施しており、調査結果が得られてきている。また、津波避難計画の形成方法の素案を作成することができた。避難行動要支援者の対策を検討することに際して、支援者側の認識を把握することにより対策の方向性を検討する際の素材を得るための調査も実施した。調査においては、当初、予定していた地区以外においても実施することにより、比較評価の素材を得ることができた。これらより、次年度以降の調査・研究の素材と基本的な方向性を得られている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度以降において、実践的な津波避難訓練を通じて課題を見いだす仕組みとその対応方策の構築、特に避難行動要支援者の支援体制の構築に資する手法の開発を目指して取り組む予定である。また、2016年度に実施した質問紙調査の分析を進めるとともに、それらの結果を考慮し、避難行動要支援者の支援体制の方法に反映させていく。 津波からの避難行動の認識については、訓練及び支援体制の構築後に再調査を行うことにより、認識の変容過程についても分析を進めたい。さらに、東日本大震災発生以前において、避難行動要支援者の対応を検討していた地区を対象としたヒアリング調査を実施し、課題と改善策の素材を得たいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度繰越金6495円については、調査結果の資料の量が大量であったため、とりまとめに時間を要した関係で繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し分の費用については、資料のとりまとめ用のファイル、紙代として使用し、2017年度の研究実施に関連した素材として準備する予定である。
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