2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01401
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
古薗 勉 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30332406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 慶直 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (90333509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / フッ素 / アナフィラキシー / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
カテーテル感染(カテーテル関連血流感染)とは、カテーテルを留置した際、カテーテルを介して細菌が侵入し、最終的に敗血症となって死に至らしめる感染症である。我が国で抗菌カテーテルが臨床使用されていない理由は、アナフィラキシーショックにより死者を出したことに起因する。そこで当該研究課題では、カテーテル感染の完全制圧を目指して、アナフィラキシーを惹起させることなく、微弱な抗菌性を有する新規なナノ材料および高分子複合体を創出する。具体的には、オーラル(口腔)ケアに用いられるフッ素(F)に着目し、Fイオンをドープした分散性と結晶性が高く、微弱な抗菌性を有しアナフィラキシー様反応を回避するF置換ハイドロキシアパタイト(F-HAp)ナノ粒子を開発し、新規な抗感染性カテーテル創出のための基盤技術を確立する。本年度(第1年目)における課題は、①分散性と結晶性に優れるF-HApナノ粒子の合成、②アナフィラキシー様反応評価法の検討の2点である。①融着防止法を用いて、F-HApナノ粒子を合成した。FT-IR測定では、HAp結晶構造中のOHイオンの一部がFイオンに置換されていることが確認された。XRD測定において、F-HApはHApと同様の結晶構造を有することが認められ、SEM像にて粒子凝集の抑止が確認された。またF-HApの結晶形態はロッド状を呈しており結晶成長が認められた。これらの結果から、分散性および結晶性に優れたF-HApナノ粒子を合成できたことが示された。②酵素法と酵素結合免疫吸着法の2つの方法を用いてアナフィラキシー様反応評価法の検討を行った。酵素法では、測定感度の問題があり更なる検討が必要であった。また酵素結合免疫吸着法では、細胞数と試薬添加量の最適化の必要性を明らかにしたことから、評価法確立の目処が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年目の研究課題は、「分散性と結晶性に優れるF-HApナノ粒子の合成」および「アナフィラキシー様反応評価法の検討」の2点である。前者については、フッ素イオン導入率を制御した単結晶の合成法を確立し、それぞれのナノ粒子についてキャラクタリゼーションを終了した。また後者については、酵素法および酵素結合免疫吸着法の2点について材料をターゲットとしたアナフィラキシー様反応を検討し、評価法確立に向けて目処を立てることができた。以上のことから、今年度の研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年目では、次の3つの課題を実施する(①F含有量の異なるF-HApナノ粒子の調製および材料特性の評価、②高分子基材表面へのF-HApナノ粒子の単層・被覆率制御、③F-HAp粉体およびF-HAp/高分子複合シートを用いたアナフィラキシー反応評価)。特に、アナフィラキシー様反応評価法の検討が進んでいることから、今年度において評価法を確立する。
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Research Products
(6 results)