2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K01500
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山崎 俊明 金沢大学, 保健学系, 教授 (00220319)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 利明 金沢大学, 保健学系, 教授 (80324086)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / 萎縮抑制 / 骨格筋 / 長軸部位 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃用性筋萎縮予防に関する先行基礎研究の分析対象は、骨格筋の一部または筋線維であった。我々は「骨格筋には解剖学的に起始と停止部があり、全体として機能的に作用する」という臨床視点から、長軸部位(近位部・中央部・遠位部)による萎縮抑制効果の相違を動物実験で検証してきた。本研究では介入条件の検証を微視的に進め、同時に新規開発された座位撮像MRIを活用しヒトへの応用を巨視的に探り、臨床で実施可能な介入条件下、長軸部位を考慮した骨格筋全体に効果的な萎縮予防プログラムを構築する。 初年度の微視的研究は、伸張運動介入時間による影響を動物実験で検証した。8週齡のWistar系雄ラットのヒラメ筋を対象に、通常飼育群、後肢懸垂にて廃用性筋萎縮を惹起するH群、実験期間中に間歇的伸張運動を5分間実施するSST群、10分間実施するLST群に分けた。部位は筋長の25%を近位部、50%を中央部、75%を遠位部とし、検討項目は各群と部位の筋線維横断面積、壊死線維・中心核線維の発生頻度とした。筋面積は遠位部においてLST・SST群ではH群と比較し、また中央部・遠位部においてSST群ではLST群と比較し有意に大きかった。短時間の介入では部位や時間によって廃用性筋萎縮の抑制効果が異なることが示唆された。 巨視的研究では、座位時の足関節肢位変化による下腿筋の形態変化をMRIで長軸部位別に分析するための撮像条件・評価方法を確立した。健常女性(大学生)を対象に足関節底背屈中間位・背屈位・底屈位でランダムに、Gravity MRIを使用し腓骨頭から300mm遠位まで10mm間隔でT1強調像を撮像し、筋横断面積を計測した。ヒラメ筋は底屈位では近位部に背屈位では遠位部に集約、腓腹筋は内側頭・外側頭ともに底屈位では近位部に背屈位では遠位部に集約、前脛骨筋は背屈位では近位部に底屈位では遠位部に集約する傾向を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度(平成28年度)は研究実施計画に従い実施し、おおむね計画通りに進展した。 微視的研究では、伸張介入時間による影響を動物実験で検証した。8週齡のWistar系雄ラットのヒラメ筋を対象に、実験期間中に間歇的伸張運動を5分間・10分間実施する群に分け、筋線維横断面積、壊死線維および中心核線維の発生頻度の観点から比較検討した。結果、長軸部位や介入時間によって廃用性筋萎縮の抑制効果が異なることが示唆された。 巨視的研究では、車椅子座位(想定)時に足関節背屈・底屈介入(足底部に楔型挿入)を実施することで、下腿筋(ヒラメ筋・腓腹筋・前脛骨筋)全体への影響を検討した。臨床的には、筋萎縮予防目的に筋伸張位に固定すれば、拮抗筋は短縮位となり筋萎縮が惹起されるため、短時間の交互介入が理想的と考えられる。そこで、まず座位時の足関節肢位変化による下腿筋の形態変化をGravity MRIを用いて、長軸部位別に分析するための撮像条件・評価方法を検討・確立した。その後、順次、健常女性(大学生)を対象に足関節底背屈中間位・背屈位・底屈位でランダムに撮像し、データ収集・分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度(2年目)は、当初の研究実施計画に従い、実施予定である。 微視的研究は、廃用性筋萎縮後の回復過程に及ぼす漸増負荷方法の効果分析を計画している。廃用性筋萎縮進行中に一定の荷重負荷を毎日与え続ける同一負荷群と負荷時間を漸増させる漸増負荷群を作成し、廃用性筋萎縮の進行抑制効果を比較検討する。Wistar系雄ラットのヒラメ筋を対象とし、実験群に7日間の後肢懸垂を行い、廃用性筋萎縮を惹起する。その後、7日間の後肢懸垂継続中に同一負荷(60分/日の荷重)を与える同一負荷群と、漸増負荷を与える漸増負荷群、および後肢懸垂群を作成する。漸増負荷は15分から開始し、毎日15分ずつ漸増させ、4日後に60分到達後は一定とする。壊死線維・中心核線維の発生割合および筋線維横断面積の分布状況を観察予定である。 巨視的研究は初年度に確立した、座位時の足関節肢位変化による下腿筋の形態変化をGravity MRIで長軸部位別に分析するための撮像条件・評価方法を使い、データ収集・分析を進める予定である。対象としては、健常女性に加え健常男性(大学生)を計画している。 平成30年度以降の当初計画では、微視的研究で筋線維タイプ別に分析予定であったが、先行研究でタイプ別相違が認められない報告があり、巨視的研究への応用を鑑み、長軸部位別分析への変更が本研究の目的達成に適切と考えている。Gravity MRI評価では、平成30年度以降、機能的評価の準備・確立を計画していたが、初年度に形態的評価を確立できたことから、現時点では「年代別形態変化の検証」が臨床的に有用と考えている。
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Research Products
(7 results)