2016 Fiscal Year Research-status Report
内部障害に伴う骨格筋ミトコンドリア機能障害に対する受動的な物理的刺激の開発
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16K01505
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 直人 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 講師 (90584178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 肥満 / 高インスリン血症 / 高トリアシルグリセロール血症 / 高気圧・高濃度酸素 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋に対する高気圧・高濃度酸素の即時効果を確認したところ、高気圧・高濃度酸素への暴露直後、PGC-1αのmRNA発現量が増加していた。このことより、高気圧・高濃度酸素は骨格筋のミトコンドリア機能障害に対する他動的な介入手段になり得る可能性が示された。 肥満を伴う2型糖尿病モデル動物であるOLETFラットを用いて、初期の糖尿病動態と運動の効果を検証した。24週齡時点において、OLETFラットは高インスリン血症と高トリアシルグリセロール血症を生じていた。また、経口ブドウ糖負荷30分後における高血糖症を確認した。一方、空腹時血糖と遊離脂肪酸濃度はコントロール動物であるLETOラットと同程度であった。OLETFラットは肝臓におけるトリアシルグリセロールの過度な蓄積を認めた。一方、骨格筋では、トリアシルグリセロールの過剰蓄積は生じておらず、筋萎縮やミトコンドリア機能障害を示唆する所見は得られなかった。このことより、24週齡時点におけるOLETFラットは糖尿病に至る前段階、もしくは初期糖尿病であると考えられる。20週齢時点から運動を4週間の継続した場合、前述した高インスリン血症と高トリアシルグリセロール血症、及びブドウ糖負荷応答が改善した。運動の効果は、60分間の運動を一度に行う条件、及び60分間の運動を20分ずつ3回に分けて行う条件に分けて検証したが、血糖値、インスリン値、トリアシルグリセロール値、血清遊離脂肪酸濃度に関して、条件間に顕著な差は認めなかった。このことより、運動は初期の2型糖尿病に対する有効な介入であり、その効果は運動の総実施時間に依存する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満を伴う2型糖尿病における初期の病態、並びに同時点における運動の効果を確認したことで、本研究の着眼点である他動的介入手段による効果と比較可能なデータが蓄積されたため、進行は概ね順調であると考える。また、高気圧・高濃度酸素への暴露は骨格筋におけるミトコンドリア新生を引き起こす可能性を確認しており、今後、疾患モデルに対する効果検証を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満を伴う2型糖尿病の進行期における病態を確認する予定である。本研究では骨格筋のミトコンドリア機能障害に対する高気圧・高濃度酸素等の他動的介入の効果検証を予定しているが、これまでに確認した糖尿病の初期では顕著な骨格筋の機能障害が確認されず、むしろ、肝臓の機能障害が先行していた。よって、今後は、糖尿病初期における肝機能障害、もしくは進行期における骨格筋の機能障害のいずれかにターゲットを絞り、介入の効果検証へと移行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね順調に進んでおり、今回生じた次年度使用額は少額で、誤差範囲内であると考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画に大きな変更はなく、試薬等や消耗品など、実験に関わる物品の購入が使用の主になる予定である。
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