2016 Fiscal Year Research-status Report
身体障害者領域におけるピア・ボランティアシステムの試行とその効果
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16K01521
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Research Institution | University of Tokyo Health Sciences |
Principal Investigator |
木村 奈緒子 東京医療学院大学, 保健医療学部, 助教 (90715103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピア・サポート / ピア・ボランティア / 当事者 / 身体障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
回復期リハビリテーション病棟で行われているピア・ボランティア活動が入院患者に与える影響について、本年度は以下の3点を実施した。 (1)調理グループにおけるパイロットスタディーの実施 回復期リハビリテーション病院における作業療法の訓練中に、脳卒中の既往歴がある料理の先生(ピア・ボランティア)に調理訓練を実施してもらい、ピア・サポートグループとして機能するように作業療法士が環境設定を行った。これをパイロットスタディーとして研究の対象とした。患者に対する効果を検討した結果、対象者は「麻痺のある状態での『実用的動作の智恵』を得る」「ピア・ボランティアの経験談と自身の生活イメージを重ねる」の効果が得られた。これらは、既にピア・サポートの効果として明らかになっている①感情のサポート、②情報のサポートと一致していた。このパイロットスタディーを元に、来年度行う介入研究について具体的な方法を検討した。 (2)ピア・ボランティアにおいては認知行動療法の手法を取り入れ、対象者は脳卒中患者を予定している。まずは入院中の作業療法において、作業療法士が認知行動療法の手法を用いて脳卒中患者にアプローチすることで効果がでるのか、シングルケースで介入を行った。その結果、対象者は自宅退院が可能となり独居生活を継続できる結果となった。 (3)ピア・サポートに関する情報収集 ピア・サポートは社会福祉の領域で多く研究が行われている。文献による整理と社会福祉分野で行われているピア・サポートの研究会に参加し情報収集を行った。研究会では作業療法士がピア・サポートにどのように関わるべきなのか、どのような効果があるのかについて、演題名「回復期リハビリテーション病棟におけるピア・サポーターの現状について」で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、本年度介入研究を行う予定であった。しかし、介入前後で効果を明らかにするためには、ピア・ボランティアからどのような効果が得られるのかをある程度明らかにする必要が生じた。そのため、本年度はまずパイロットスタディーで研究を行い、来年度の介入研究に備えて研究の基礎を作る必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実施したパイロットスタディーからは、過去の研究と同様の結果が得られた。本年度は、この結果を元に介入研究を行う予定である。新たにピア・ボランティアを募り、回復期リハビリテーション病院の作業療法訓練において、脳卒中患者を対象にピア・サポートグループを作り、その効果を検証していく。今回は量的研究をメインに行う予定であり、ピア・ボランティアと脳卒中患者ともに身体的指標と心理的指標を組み合わせ、介入前後で評価をする予定である。またピア・サポートグループの活動中は参与観察を行い、質的にも分析を行う事を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度はパイロットスタディーを行ったため、研究の規模がやや小さくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度繰り越した分は、次年度の介入研究に必要な物品を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)