2016 Fiscal Year Research-status Report
非特異的慢性腰痛の情動的側面に対する経頭蓋直流電気刺激の効果検証
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16K01530
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
前岡 浩 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (00454801)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 痛み / 情動 / 治療手段 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は不快感や不安感といった痛みの情動的側面について、特に非特異的慢性腰痛者を対象に脳機能および自律神経機能の側面から明らかにすることが目的である.また,痛みの情動的側面に対する有効な治療手段についても検討することである. 平成28年度は,健常成人を対象に痛みの情動的側面に対する有効な治療手段について3つの実験を実施し検討した.①実験者と被験者の関係性(親密度)の違いが知覚する痛み刺激に与える影響について検証した.その結果,実験者との関係性がより強いほど主観的痛みの強度および不快感と不安の軽減が認められ,さらに脳波測定から痛みの情動に関与する島皮質の活動性低下も確認された.②痛みに関する不快感や不安を喚起させるような情動喚起画像を使用し,受動的に画像内の痛みの部位が消去されるのを観察する条件と被験者自らが積極的に画像内の痛みの部位を消去する条件を比較した.その結果,痛みの部位が消去される点では各条件で共通であるが,積極的に痛みの消去に関わる条件においてより痛みの強度,不快感の減少が認められる結果となった.③反復した痛み刺激に対する右背外側前頭前野への経頭蓋直流電気刺激の有効性について検証した.anode条件とsham条件で比較した結果,2条件で痛みの閾値や耐性に変化は認められなかったが,anode条件で不快感の低下および不安の増加の抑制が認められた. これらのことから,痛みの情動的側面に対する多様なアプローチの可能性が示唆される結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は痛みの情動的側面に対する治療手段について検証し,予定していた経頭蓋直流電気刺激のみならず,その他の治療手段についても検証することができた.さらに,それらの結果から痛みの情動に対する有効性が示され,治療手段となる可能性が示唆された.しかしながら,平成28年度は健常成人のみを対象とした実験の実施となっていることから「やや遅れていると」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降では,当初の計画通りに非特異的慢性腰痛者を対象に,治療手段として経頭蓋直流電気刺激に焦点を当て,痛みの情動的側面に対する有効性と鎮痛効果のメカニズムについて検証していく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,予定していた研究成果発表のための学会への参加において,データが学会発表の水準に達しなかったため不参加となり,旅費が発生しなかったことが挙げられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画として,平成28年度に不参加となった学会を含め,研究成果発表のための学会参加の旅費に使用すること,被験者の謝金,論文校閲費として使用すること,などを計画している.
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