2016 Fiscal Year Research-status Report
子どもの認識から体育の学習内容を検証する―子どもの描画分析を中心として
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16K01608
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松本 奈緒 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30364699)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 学習者の認知研究 / 体育の学習内容 / 子どもの描画分析 / 体育のアカウンタビリティー / 海外との交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究プロジェクトの初年度にあたり、研究で使用する描画分析の研究手法についてより詳細な情報収集を行った。 9月にアイルランド、リメリック大学のDr. MacPhile、オランダ、ウェンデハイム大学のDr. Koekoe、12月に台湾、国立台湾師範大学のDr. Linを訪問し、描画分析の研究手法についてのディスカッションや質疑応答を行うことができた。描画分析を用いた体育分野の研究で著名である研究者に質問をし論議を行うことで、描画分析行う際の留意点や文献を読んだだけでは分からない研究の手続きについて詳細に知ることができた。 訪問時に新たな先行研究や文献を紹介されたため、その文献の収集と精読を行った。そのほとんどが英語で書かれたものであった為、本研究者が精読あるいは翻訳を行ったが、ドイツ語で書かれたものが1点あった為、それに関しては翻訳業者に依頼し、日本語に翻訳したものを精読した。 文献研究の結果、社会科学や文化人類学、教育学の分野で描画分析が行われていることが明らかとなった。この学問分野においては、ある一定の社会的事象を対象者の視点から分析する研究の手法として、ビジュアルデータを研究のデータとする研究方法が存在し、その一部として描画分析がある。例えば、1950年代後半、研究者のイメージに関する研究において、35000の高校生の絵とエッセーを分析した研究においては、アメリカの高校生が見た目やジェンダー等ステレオタイプな研究者のイメージを抱いていることが明らかとなった。MacPhileの子どもの視点での体育の捉え方に関する先行研究においては、特定の授業の活動や単元ではなく、より幅広いスポーツモデルの体育に関する調査を行っているが、その対象者の選定やデータの採取方法に似通った点があることから考えると、これら学問分野の研究の影響があることが推察できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
9月にアイルランド、リメリック大学のDr. MacPhile、オランダ、ウェンデハイム大学のDr. Koekoeを訪問し、描画分析の研究手法についてのディスカッションや質疑応答を行うことができた点は大きな成果である。また、文献調査の過程で台湾の国立台湾師範大学の研究グループも描画分析の手法を用いた研究を行ってきたことが明らかとなった為、新しい訪問先として本大学を追加し、12月に訪問しDr. Lingらにも描画分析の分析方法について質疑応答ができた。 訪問時に紹介された新しい先行研究について精読、及び翻訳作業を進め、一定の結果が明らかになっている。しかし、まだ終了していない文献もあり、自分のこれまでの研究方法の整合性を確かめるにいたっていない。 なお、当初、研究全体のデザインの助言については、アメリカノースカロライナ大学グリーンズボロ校のDr. A. Chenに依頼する予定であった。しかし、アイルランド、リメリック大学のDr. MacPhile訪問の際に、本研究を今後国際的共同研究として進めていくことととなり、研究全体のデザインの点についてもDr. MacPhileに助言を受けられることとなった。従って当初予定していたアメリカノースカロライナ大学グリーンズボロ校の訪問が必要なくなり取りやめた。 また、当初研究の情報収集目的で参加する予定であったAIESEP in WyomingとSHAPE America in Bostonの2つの学会であったが、学事予定との調整がつかず、訪問がかなわなかった。また、国立台湾師範大学の研究グループより推薦された描画分析の方法についての文献がドイツ語で出版されたものであった為、その文献を翻訳する目的で当初英語校閲に使用する予定であった予算を独語の翻訳代金の用途で使用した。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究について精読、及び翻訳作業を進めているが、まだ終了していない文献もあるので、精読及び翻訳作業を進める。また、先行研究の内容を特に研究手法の点からまとめ、自分の研究の分析手法と照らし合わせ整合性を確認する。
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Causes of Carryover |
当初研究の情報収集目的で参加する予定であったAIESEP in MinesotaとSHAPE America in Bostonの2つの学会であったが、学事予定との調整がつかず、訪問がかなわなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年参加できなかったAIESEP in Minesotaの代わりに来年度AIESEP in Blukinafasoに参加する予定であり、予算残額を来年度に繰り越し本学会参加の旅費の一部として充当する。
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