2016 Fiscal Year Research-status Report
地方都市へのオリンピックレガシー:2012年ロンドンと2020年東京大会
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16K01703
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
白井 宏昌 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (40772033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オリンピックレガシー / 分散型配置計画 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度では、まずは「オリンピック・レガシー」に関する既存研究を行った。ここでは特にGratton and Presuss(2008)による「オリンピック・レガシー」の分類である「レガシー・キューブ」の理論に基づき、本研究が意図している開催都市以外の地域への物理的なオリンピック・レガシーがどのように位置づけられるかを考察した。また国際オリンピック委員会などが規定している「オリンピック憲章」やオリンピック・レガシーに関する政策などで、開催都市以外への「オリンピック・レガシー」がどのように位置づけているかを調査し、本研究が取りくむ2012年ロンドン大会と2020年東京大会の2つの事例に関わる基礎的事項として整理した。 次に2012年ロンドン大会について、既存研究やメディア掲載記事などをもとに大会前に計画されたレガシー計画とその後の展開について、ロンドンおよびイギリス国内の他の地域に関して整理を行った。整理に当たっては特に国内各地で整備された「パブリック・ビューイング会場」が、地域の大きなオリンピック・レガシーになった事例が多く見受けられることなど、大会と直接関係する空間整備に視点を当てて、文献調査等を行った。 最後に2020年東京大会では、その施設配置がその計画が、ロンドンなどのこれまでのオリンピック開催都市で多数見られた集約型から分散型へと大きく異なる点に注目し、このことが東京以外の地域にどのような影響を及ぼし得るかを既存研究やメディア掲載記事などから考察した。ここで大きな視点となったオリンピック施設配置に関する考察は、論文としてまとめ発表することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では初年度に2012年大会の事例研究を行い、2年度に2020年大会の事例を行うことを予定していた。特に、2012年大会の事例を調査するにあたって、東京大会大会での事例と合わせて、調査項目をより具体化していくことを予定してたが、研究の初年度にあたる2016年は2020年東京大会の計画理念が大きく変更していったことから、2012年ロンドン大会について重点的に行うことをせず、2012年大会と2020年大会の計画理念の比較や、それぞれの大会について言及されている既存研究やメディア掲載記事などを整理し、調査の論点を明確にすることとした。
研究2年度にあたる2017年度はじめには2020年東京大会の計画理念はほぼ確定したことから、当該年度ではより具体的に2012年ロンドン大会および、2020年東京大会の現状について調査し、年度末には当初予定していた両大会の調査を終える予定である。よって、調査の順序は変更したが、研究経過としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、研究2年目にあたる2017年度では、2016年度におこなった、2012年ロンドン大会および2020年東京大会の事例に関してより、より具体的な現地調査を行うことを予定している。特に2012年ロンドン大会については、現地にて開催都市以の地域でオリンピックをきっかけに整備されたエリアを調査し、そこでのオリンピック・レガシー実現のプロセスを探求する。また2020年東京大会では日本各地の都道府県について、2020年に向けて現在どのような、都市再編が行われようとしているか、そして、大会終了後にはどのようなレガシーを残そうとしていいるかを、都道府県別に調査し、その中でも特徴的な地域に関しては、現地で関係者等へのインタビューなどを通じて、より具体的に考察していく予定である。これら2つの大会での調査を経て、最終年度ではまとめと研究結果の発信に努めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、イギリスおよびロンドンでの現地調査を研究初年度である当該年度に行わなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額に関しては、初年度に行わなかったイギリスおよびロンドンでの現地調査を行うために使用したいと考えている。
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Research Products
(1 results)