2016 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ・メガイベントが震災復興過程に及ぼす影響の研究:釜石市を事例として
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16K01719
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Research Institution | Biwako-Gakuin University |
Principal Investigator |
向山 昌利 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 講師 (10733785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 信博 東北大学, 教育学研究科, 名誉教授 (80005826)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 震災復興 / メガイベント / ワールドカップ / ラグビー / 釜石市 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ラグビーワールドカップ釜石開催を対象として、ラグビーワールドカップと震災復興の接合から開催に至るまでの過程を多様な被災住民の立場から重層的に解明することである。 本年度は被災地の現状を俯瞰しながら多様な住民の位置取りを確認するために、ラグビーワールドカップ釜石開催に関わる組織の担当者に対するインタビュー調査を実施した。具体的なインタビュー協力者は、復興庁、岩手県庁、釜石市役所、ラグビーワールドカップ組織委員会、NPO法人スクラム釜石ならびに鵜住居地区まちづくり協議会の担当者である。 インタビュー調査の結果、ラグビーワールドカップ釜石開催構想が、新日鉄釜石ラグビー部員OBを中心として設立されたNPO法人スクラム釜石によって釜石市に持ち込まれた実態が明らかとなった。また、被災後の釜石市が復旧に向けた作業に資源を集中させながらも、釜石市の中長期的な発展を見据えてラグビーワールドカップ開催を検討した姿が明らかとなった。くわえて、ラグビーワールドカップ開催が釜石市へ及ぼす影響を、NPO法人スクラム釜石と釜石市役所が被災住民よりも長い時間軸と空間軸を用いて検討したことが明らかかとなった。ラグビーワールドカップを進める側と被災住民の間にある検討軸の異なりによって生まれた溝は、ワールドカップを進める側の被災住民への遠慮もあり克服されることなく取り残されていた。 以上の研究結果を国内外の3学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
復興庁、岩手県庁、釜石市役所、ラグビーワールドカップ組織委員会、NPO法人スクラム釜石、鵜住居地区まちづくり委員会などに対して当初の予定通りインタビュー調査を実施した。インタビュー協力者の同意を得て録音されたインタビューデータを文字起こしを行った上で質的分析ソフト(MAXqda)を用いて分析した。データを分析した結果、ラグビーワールドカップ釜石開催にかかわる組織の位置取りを理解することができた。また、これまでの調査結果を国内外の学会で発表し、学術研究者から有益なコメントを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、課題の克服が早急に求められる災害復興に関する事象を対象としているため、これまでの調査結果を論文としてまとめ国内外に公表する。また、これまでのインタビュー調査結果をもとに改めて理論的サンプリングをおこない補足的インタビュー調査を実施する。くわえて、ラグビーワールドカップを進める側と被災住民との間のラグビーワールドカップ開催に関するコミュニケーション不足という、これまでの調査によって浮き彫りとなった課題を克服することを目的として復興まちづくり委員会とアクションリサーチを進める予定である。
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Research Products
(3 results)