2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K01735
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
木目 良太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (90366120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庭山 雅嗣 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (40334958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋酸素動態 / 近赤外線分光法 / 皮下脂肪厚 / 散乱光 / 透過光 |
Outline of Annual Research Achievements |
近赤外線分光法(NIRS)を用いた筋組織計測は、その計測方法が簡便なことからスポーツ医科学の分野でも広く利用されているが、散乱光を利用しているため皮下1~2センチ程度の筋組織しか計測していない。筋組織の深層部は遅筋線維が多いため、運動時には主働筋として動員されているが、それらの情報をNIRSでは検出できないのが現状である。そこで、受光センサーを複数設置して受光量を増やすプローブを開発し、散乱光ではなく透過光を用いて運動時における筋組織酸素動態の計測を試みた。ヒト筋組織は光吸収物質(特にミオグロビン)の濃度は他組織よりも高く、従来実施されている散乱光と同様の方法で透過光を用いても検出部にて得られる光量が不充分であったため、プローブの装着を皮膚の上から皮下脂肪をピンチするように送光部と受光部を強く押し込むことで皮下脂肪による散乱の影響を少なくした。プローブの上から測定部位をピンチするので、高圧にも耐えられるプローブを制作した。その結果、透過光を用いて安静時および等尺性運動時におけるヒラメ筋の酸素動態を検出することに成功した。しかしながら、骨格筋有酸素能が高い鍛錬者では、受光部位に検出される光量が少なすぎて測定出来なかったため、更に光量を増やすなどの改善が必要である。また、透過光と同時に散乱光を用いて表層部と深層部の酸素動態の違いを検出するため、皮下脂肪厚の違いが透過光のデータに及ぼす影響についての実験も平行して行った。皮下脂肪厚がほぼ同じ被験者を集めて運動時における脱酸素化動態と全身持久力との関係を調べた結果、両者の間には有意な相関関係が確認されたが、皮下脂肪厚を考慮しないで様々な被験者で検討したところ両者の関係が弱まる傾向が観察された。また、散乱光を用いた運動時の筋組織計測は平均光路長が短縮することを発見し、改めて平均光路長の影響が出にくい透過光の有用性が再確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト筋組織は光吸収物質(特にミオグロビン)の濃度は他組織よりも高く、従来実施されている散乱光と同様の方法で透過光を用いても検出部にて得られる光量が不充分であったため、プローブの装着方法を色々と工夫する必要がある。今回我々は、①受光量を増やすために受光センサーを複数設置、②皮下脂肪の光散乱の影響をなるべく少なくするために、皮膚の上から皮下脂肪をピンチするように送光部と受光部を装着、③プローブの上から測定部位をピンチするので、高圧にも耐えられるプローブの制作など、様々な測定装置の改良を行った。その結果、透過光を用いて安静時および等尺性運動時におけるヒラメ筋の酸素動態を検出することに成功したが、送光部および受光部ともに大幅な改良を必要余儀なくされた。当初は一年程度で改良が終了する予定であったが、運動時にも対応出来るように何度も改良を重ねた事もあり、計測可能になったのが平成30年度の秋頃になったため、この度延長願を提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度にようやく透過光を用いて安静時および等尺性運動時におけるヒラメ筋の酸素動態を検出することに成功した。しかしながら、骨格筋有酸素能が高い鍛錬者では、受光部位に検出される光量が少なすぎて測定出来なかったため、光吸収物質(ヘモグロビン/ミオグロビン)が多いヒラメ筋ではなく上腕二頭筋を用いて現在実験を行っている。今後は被験者数を増やし、透過光と散乱光を用いて運動時における筋酸素動態の相違について検討していきたい。また、皮下脂肪厚の違いが透過光のデータに及ぼす影響についても併せて実験を行いたい。
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Causes of Carryover |
ヒト筋組織は光吸収物質(特にミオグロビン)の濃度が他組織よりも高いため、従来実施されている散乱光と同様の方法で透過光を用いても検出部にて得られる光量が不充分であったため、送光部および受光部ともに大幅な改良を必要余儀なくされた。当初は一年程度で改良が終了する予定であったが、運動時にも対応出来るように何度も改良を重ねた事もあり、計測可能になったのが最終年度の秋頃になったため、この度延長願を提出した。繰り越した助成金は、被験者への謝金ならびに令和元年度の夏頃にアメリカで開催される国際学会(ISOTT:International Society on Oxygen Transport to Tissue)にて発表する旅費に充てる計画である。
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Research Products
(6 results)