2018 Fiscal Year Research-status Report
伝統芸能・武道の精神的健康増進作用に関する脳画像研究
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16K01790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 広臨 京都大学, 医学研究科, 講師 (10599608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義村 さや香 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80751776)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 武道 / アンケート / 心理検査 / 脳画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
武道の中でもとりわけ、剣道および合気道等の愛好家を対象とした国際アンケートを実施し、被験者630名の協力を得た。うち、同オンラインアンケートの回答完了者は400名今日であった。武道愛好家と非愛好家とを比較した結果、自尊感情、衝動性制御という転移於いて武道愛好家が好成績であるということが中間解析結果として得られた。ただし、本データーは2018年度内に配布したベースライン(Time 1)の横断的データのみによる知見であるため、これらの変化や安定性等、武道の習慣化による効果かという点に迫るため、本報告書作成直前に第2回目のアンケート調査を開始したところである。引き続き、これらの経時間的縦断データの解析を進めていく予定である。一方、剣道愛好家を対象とした脳MRI検査による研究では、剣道愛好家において、注意・モチベーションに関わる脳内ネットワークの効率的活動を示唆する結果を得ており、論文化の予定である。さらに、脳科学的観点からは、武道における過度のトレーニングにより、行動嗜癖のひとつである「スポーツ依存」ともいうべき有害な状況にもいたりうるが、この行動嗜癖に関連するひとつの生活習慣としてのインターネット使用に関する脳画像研究にて、通常範囲内のインターネット使用については、モチベーションに関わる脳内ネットワークの活性化という観点からは、脳健康促進的であるという可能性を示した(藤原ら、2018)。このことは、剣道愛好家のMRI研究において検証したものと同一の神経回路について、脳健康促進的な生活習慣の影響を明らかにするという意味で相互補完的な知見であり、武道稽古の習慣の適性化に応用可能な知見となり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート研究におけるデータ取得状況および中間解析も実施済みであり、さらに、脳画像研究に関する成果の論文化への準備も整った。オンラインアンケートシステムのシステム構築および、被験者リクルートのルートもさらに頑強な者となり、縦断研究を進めていくに当たっての手はずも整った。さらに、研究代表者施設では、さらなる高磁場MRIスキャナーの導入によって、これまでと比較してさらに精緻な脳画像データを得ることが可能となった。これらの要因を総合すると、本研究はおおむね順調に伸展してきているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
国際アンケート研究およびMRIを用いた脳画像研究ともに、武道の習慣化による各種指標の変化を見ていくため、縦断データの取得・解析を目指していく。また、自己記入式の心理アンケートによるデータ取得に加え、より他覚的指標として、ウェアラブルデバイスを用いた生活活動のライフログデータの取得・解析も目指していく。
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Causes of Carryover |
脳画像研究にかかる解析ソフト購入、国際アンケート実施のためのオンラインシステムの構築、被験者への謝金支払いにあたり、他の研究経費の運用が可能となったため。 次年度については、成果の論文化にともなう英文構成費用、国際雑誌への掲載費用、新たなMRIスキャナの維持費用、成果発表にあたってのウェブサイト立ち上げの費用等として使用していく見込みである。
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Research Products
(1 results)