2017 Fiscal Year Research-status Report
放射光微小冠動脈造影を用いた微小冠動脈の機能評価法確立および虚血性心疾患への応用
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16K01810
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
坂本 裕昭 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30611115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 千穂 筑波大学, 学内共同利用施設等, 病院講師 (30451701)
松下 昌之助 筑波技術大学, 保健科学部, 教授 (70359579)
兵藤 一行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (60201729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 放射光微小冠動脈造影法 / in vivo ラット / 糖尿病 / 腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活習慣病である糖尿病や新たな国民病ともいえる慢性腎臓病は増加の一途をたどり、それらを合併した虚血性心疾患も増加しているが、糖尿病や腎臓病患者の冠動脈の性質の違いは明らかになっていない。本研究の目的は異なる疾患に合併する冠動脈の特徴を解明することである。 これまでに我々が開発してきた放射光微小冠動脈造影法で、in vivoラットの直結50μmの冠動脈を描出することが可能である。更に今回は独自開発した画像解析プログラムを用いてin vivoラットの冠動脈造影像から冠動脈の血流速度の相対評価を加えた。 外的ストレスによる交感神経活動が糖尿病の冠動脈に与える影響に関して、外的ストレスである寒冷刺激をラット後脚に与えると、正常ラットでは刺激後に冠動脈が拡張するが、糖尿病ラットでは刺激後に収縮することを、これまでの研究で示した。これは、糖尿病ラット冠動脈の外的ストレスに対する生体応答機能低下と考えている。 上記の冠動脈形態変化の評価に加え、今回は独自開発した画像解析プログラムにより冠動脈造影像における任意の血管部位の経時的濃度変化を評価した。濃度変化が早ければ血流が速いと解釈され、相対的血流速度の評価が可能となる。その結果、外的刺激で冠動脈が拡張した場合は相対血流が速く、収縮した場合は相対血流が遅くなることが示された。 また本年度は慢性腎臓病ラットを用いて上記と同様の実験を行い、画像解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに糖尿病ラットを用いた①血管収縮物質(エンドセリン-1)投与後、②外的ストレス(寒冷刺激)暴露後の放射光微小冠動脈造影は終了している。本年度は画像解析プログラムを用いた解析を行った。 また慢性腎臓病ラットを用いた同様の冠動脈造影も一部施行し終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は慢性腎臓病ラットを用いた冠動脈造影数を蓄積していく。 それとともに、これまでに得られている糖尿病ラットと慢性腎不全ラットを用いた①血管収縮物質(エンドセリン-1)投与後、②外的ストレス(寒冷刺激)暴露後の放射光微小冠動脈造影像の画像解析を進め、結果をまとめて論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初の予定よりもラット使用頭数が少なく済んだため。糖尿病ラットはstreptozotocin投与後に20週飼育したものを糖尿病ラットとして使用。慢性腎臓病ラットは腎臓を5/6切除後に5週飼育したものを慢性腎臓病ラットとして使用。共に使用頭数を削減できた結果、飼育費用も節約できた。また当初予定していた米国心臓病学会での発表を今年度は行わなかったため、旅費を大幅に節約できた。 (使用計画) 来年度は5月にロシアでの学会発表が決定しているので、その費用に充てる。また実験動物購入および飼育費、実験器具の購入費などにも充てる。
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Research Products
(2 results)