2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児のファンタジーの体験および意味づけ-幼児と養育者の関わりの素材としての活用
Project/Area Number |
16K01894
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 直子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (50389615)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ファンタジー / 幼児 / 参与観察 / 現実 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、幼児がファンタジー(実在しないキャラクターや現実には生じ得ない現象)をいかに体験し意味づけるかに着目する。大人が与えたファンタジーで溢れている現在、幼児がファンタジーをどのように体験し意味づけているかを再考する必要があるが、これまで多面的な検討はなされていない。幼児のファンタジーの体験や意味づけについての探求は、幼児の心の理解に役立つのみならず子育て支援の手がかりになると考えられる。そこで本研究では、幼児のファンタジーの体験や意味づけについて、1.個々の幼児から観察されるファンタジー、2.幼児の間でのやり取りで観察されるファンタジー、3.大人が与えるファンタジーの3側面から明らかにし、幼児と養育者がともに成長する関わりの素材としてファンタジーを活かす提言を目指す。 当該年度は、上記の1と3に着目して研究を行った。1については、宿泊保育をはじめ全ての幼稚園行事に出向き、参与観察を行った。また、幼児が幼稚園で制作する図画工作にも注目した。3については、幼稚園教諭の方々にインタビューを実施し、ファンタジックな事柄を幼児に提示(話したり見せたりする)時の意図や幼児の反応、その後の展開などについてたずねた。 幼稚園教育においてファンタジーが有効に活用されていること、またその活用は熟慮の上でなされていることが示唆された。今後も調査を進め、幼児期のファンタジーを子育てに活かす手がかりを模索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼稚園行事における参与観察と幼稚園教諭へのインタビューなど、予定していた調査が順当に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は主に以下の3つの柱で研究を進めていく。 第一に、園児の自由遊びの参与観察を実施する。朝や午後の延長保育時間や、その他の時間での自由遊びの様子を観察する。保育に支障がなければ、研究者が一緒にかかわる参与観察の形をとる。対象予定児は次年少~年長児とする。可能であればその様子を録画する。所要時間は、その時々の保育の状況に合わせる。 第二に、卒園生およびその保護者様を対象としたインタビューを実施する。主にファンタジーをめぐる事柄について、幼児期や幼稚園行事を振り返っていただき、現在についてもお話をうかがう。対象予定者は衣笠幼稚園卒園生とその保護者の方々(可能であれば10組ほど)とする。可能であればインタビューの内容を録音する。所要時間は卒園生30分程度、保護者50分程度と想定する。研究期間は平成29年5月~9月を予定する。インタビュー場所については、衣笠幼稚園、立命館大学内、保護者様のご自宅など、幼稚園園のご都合や保護者様のご希望に沿う形で設定する。 第三に、在園時保護者様を対象とした、ファンタジーに関するインタビューを実施する。衣笠幼稚園在園児の保護者様を対象にインタビューを実施する。普段、幼児とのやり取りで登場するファンタジー、その時の幼児の反応、保護者の考えなどについてお話を伺う。対象予定者は衣笠幼稚園園児保護者の方々(可能であれば次年少~年長各学年5名程度ずつ)とする。可能であればインタビューの内容を録音する。所要時間は1時間程度を想定する。研究期間は平成29年秋から半年間を予定する。インタビュー場所は、衣笠幼稚園、立命館大学内、保護者様のご自宅など、幼稚園園のご都合や保護者様のご希望に沿う形で設定する。
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Causes of Carryover |
幼稚園という他機関でフィールドワークやインタビューを行う計画であったため、謝金や交通費等、あらかじめ明確に把握できることが難しい費目があった。そのため、多めの金額を所要額として計上していた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は引き続きフィールドワークやインタビューを実施する。これに加え、現存のコンピューターに不具合が生じ研究に支障が出るようになってきたため、新しいコンピューターを購入して研究を進める予定である。
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