2021 Fiscal Year Annual Research Report
Early childhood fantasy experience and meaning-use as a material for the relationship between infants and caregivers
Project/Area Number |
16K01894
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岡本 直子 立命館大学, 総合心理学部, 教授 (50389615)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファンタジー / 幼児 / 養育者 / 参与観察 / 自由遊び / 半構造化インタビュー / 関わり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大人に比べ身体的、心理的、社会的に発達の途上にある幼児がファンタジー(実在しないキャラクターや現実には生じ得ない現象)をいかに体験し意味づけるかに着目した。これは、幼児の心の理解に役立つにとどまらず、子育て支援の手がかりになると申請者は考えた。 本研究は、幼児期のファンタジーについて、幼児間でのやり取りから観察されるファンタジーと、大人からのファンタジーの提示に対する幼児の反応との2側面に着目した。幼児間でのやり取りについては、幼稚園の自由遊びに申請者が参与観察を行い、その言動を観察・記録した。大人からのファンタジーの提示に対する幼児の反応については、七夕、クリスマス、節分などの幼稚園行事に参加し、そこで取り扱われるファンタジーに対するこどもの反応を観察・記録した。また、年長児を対象に実施される2泊3日の宿泊行事に同行し、起床から就寝までの幼児の様子を観察・記録した。また、幼児期を過ぎ児童へと成長した子どもが幼児期のファンタジーをどのように意味づけているかや、養育者が幼児期の我が子のファンタジーや我が子へのファンタジー的関わりをどのように意味づけているかを探求する目的から、卒園児親子を対象としたインタビューを実施した。加えて、ファンタジーをめぐる幼稚園教諭の思いを探求する目的から、幼稚園教諭を対象としたインタビューを実施した。 これらの参与観察やインタビューから、ファンタジーは大人の都合で用いるのではなく。幼児がそれをどのように受け取るかを注意深く見極めつつ提示することが重要であることが示唆された。また、幼児にとってファンタジーと日常の境界は曖昧であること、ファンタジーと現実を柔軟に行き来できることも示唆された。幼児期のファンタジーに関しては、どこまで付き合って良いのか戸惑う教育者や養育者も少なくない。本研究で得られた示唆が関わりの手がかりとなると考えられる。
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