2016 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患への適用を目指した神経新生を促進する低分子化合物の開発
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16K01932
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 亜希子 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80649046)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経新生 / 化合物探索 / ダウン症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群などの神経発達障害やパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患等は神経新生の低下や脳における特定の神経細胞群が徐々に死ぬことで、運動・知覚などの脳の高次機能に異常をきたす。本研究ではこれらの疾患群への適用をめざし、神経新生を促進する低分子化合物の探索を実施した。具体的にはマウス神経新生領域より単離した初代神経幹細胞を用いてオリジナルライブラリの中から神経幹細胞の増殖を促進する低分子化合物を探索した。評価はBrdUの取り込みを指標に用い、ハイコンテント画像解析システムによりスクリーニングを実施した。その結果複数の候補化合物の取得に成功した。 取得した化合物の標的同定のため300キナーゼに対するパネルアッセイを実施した結果、候補となる標的の同定に成功した。さらにIC50を検討したところ、取得化合物群は標的に対して nMオーダーでの標的能を有していることを確認した。また候補化合物がATP競合的に作用することを確認した。 並行して取得した候補化合物の薬理作用を検討するため、化合物の齧歯類における体内動態を検討した。その結果経口投与により脳組織にまで移行する有望な化合物の取得に成功した。この体内動態のよい取得化合物の薬理作用を疾患モデルにおいて検討した結果、ダウン症モデルマウスへの化合物投与により、低下している神経新生が候補化合物により相補されることを確認した。以上のことから有望な候補化合物の取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度には神経新生を促進する化合物の取得とその薬効確認をめざしていたが、複数の候補化合物の取得に成功した。疾患モデルとして神経新生が低下しているダウン症モデルマウスを選択し、候補化合物の薬理作用を検討した結果、有望な化合物の取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は取得化合物の効果的な適用探索のため、疾患モデルの探索、構築を行う。
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Causes of Carryover |
有望な候補化合物が取得できたため、適用疾患を探索するため次年度にモデル系構築を実施するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
疾患モデル系構築のための物品費
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Research Products
(3 results)