2016 Fiscal Year Research-status Report
東アフリカの難民とホストによる日常的実践に関する国際比較研究
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16K01988
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
内藤 直樹 徳島大学, 大学院総合科学研究部, 准教授 (70467421)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長期化難民 / 難民キャンプ / ニャルグス / ダダーブ / 食文化 / 配給食 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年10月と12月および平成29年の2月の3回、タンザニア西部のキゴマ県に位置するニャルグス難民キャンプにおける班民-ホストの関係構築に関する現地調査を実施した。ニャルグス難民キャンプの人口は約13万人であり、同国最大の規模である。約半数がコンゴからの長期化難民であり、残りの半数がブルンジで2015年5月に発生したクーデターと大統領選挙にともなう動乱を契機とする難民である。このうち今回の現地調査では、おもに5年以上にわたって難民状態が継続しているコンゴ難民が庇護国・国際社会・ホスト社会といかなる関係を取り結びながら、難民キャンプという新たな環境における日常生活を再構築しているのかという点を、食料の確保に焦点をあてて解明しようとした。 難民キャンプで配給される食糧の種類と量は、穀物・塩・油類からなり、ケニアのダダーブ難民キャンプとほとんど同じものであった。だが実際にコンゴ難民が日常的に摂取している食品の内容を見ると、野菜や魚類等の配給されていない食材が多く含まれていることが明らかとなった。これはコンゴ難民の多くが、近隣のタンガニーカ湖周辺に居住していた経歴をもつことと関係していると考えられる。これはケニアのダダーブ難民キャンプに居住するソマリ難民が牧畜文化を背景にしており、生鮮食料品として非配給食であるミルクを多く摂取していたことと類似している。すなわち難民キャンプにおいて配給される食糧は、人間の食に関する文化的な側面よりも栄養学的な側面に重きを置いて構成されているためであると考えられる。 このように異なる文化的背景をもち、異なる状況で生活を送らざるを得ない難民は、それぞれの状況のなかで自分たちの文化的な食のニーズを満たすために様々な努力をおこなっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年以降の治安悪化およびその後にケニア政府がダダーブ難民キャンプの閉鎖方針を打ち出したことにより、同キャンプでの現地調査を継続することは困難となった。今回はそれに替わる新たな調査地の開拓をおこなったが、その目的は十分に達成できた。これによってケニアのダダーブ難民キャンプとタンザニアのニャルグス難民キャンプにおける難民の食文化の差異に焦点をあて、それらの食材を確保する過程で難民-ホスト間に構築される諸関係の差異や共通性を比較検討することが可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度もニャルグス難民キャンプでの現地調査を実施する予定であるが、それと同時に近年の南スーダンの内戦によって再び急増したウガンダの南スーダン難民が居住するキャンプにおける現地調査の準備も開始したい。そのうえで平成30年度にウガンダでの現地調査を実施し、東アフリカの主要な難民庇護国であるケニア・ウガンダ・タンザニアにおける難民-ホスト間の関係に関する比較研究をおこないたい。
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Causes of Carryover |
2011年以降にケニア東部で発生したテロ事案やケニア政府によるダダーブ難民キャンプの閉鎖によって、申請時に予定していた同地での現地調査が不可能となったために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに実施しているタンザニアにおける難民キャンプにおける現地調査が良好に進んでいるため、今年度は現地調査の期間を延長して実施する予定である。
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Research Products
(1 results)