2019 Fiscal Year Annual Research Report
China's Policy toward Taiwan and Influence of Local Cadres in Fujian's Economic Development Strategies
Project/Area Number |
16K01997
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
下野 寿子 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (40294607)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 福建省 / 台湾 / 対台工作 / 地方幹部 / 経済開発 / 習近平 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、地方政府レベルの経済発展戦略の一貫性を探求するため、福建省の省党委書記と省長を中心に幹部の履歴と任期中の政策を整理した。中央に進出した幹部を除き、同省幹部に関する資料は少なかったが、2017年から2019年にかけて福建日報の特集など福建省時代の習近平に関する資料を比較的まとまった形で入手することができた。プロパガンダが含まれているとはいえ、これらの資料を中心に、地方幹部と政策との関連性について分析した。 その結果として3点指摘する。第一に、省内の対外開放・経済発展政策・台湾政策は、1980年代は経済特区を設置した廈門を中心に展開したが、1990年代には省北部に政策の重心が移った。それは習近平の勤務先が省北部(寧徳地区、福州市、福建省)に移った時期とほぼ重なっていた。彼は、省北部で台湾資本や華僑華人を利用した経済発展を試みた。第二に、1980年代末から1990年代にかけての中台関係は、福建省の台湾資本誘致に政治・経済両面で影響を与えた。その中で習近平は、中台間の政治的対立にかかわらず、大陸に進出していた台湾企業の権益保護を提唱し、またその方針を現地の台湾企業に出向いて直接伝えるパフォーマンスも見せた。第三に、習近平が離任した後も福建省では彼の政策方針が引き継がれた形跡がみられた。並行して、胡錦濤政権の台湾政策や、僑郷の特性を生かした宣伝工作が折衷する形で、同省は台湾との経済協力を経済開発に利用した。政策の継続性は、省の台湾政策や、習氏が重点を置いた地域(平潭や福清など)の経済開発の進展において観察された。習氏離任後、平潭総合実験区や海峡西岸経済区など、台湾との経済協力を掲げた経済開発区構想が省北部を中心に進められ、国家級プロジェクトへ昇格していった。
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Research Products
(1 results)