2017 Fiscal Year Research-status Report
性同一性障害とスポーツ ~治療に伴う運動能力変化と競技スポーツへの参加~
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16K02036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
関 明穂 岡山大学, 保健学研究科, 客員研究員 (20314685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 久雄 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (30135967)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 性同一性障害 / 体力 / 運動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
性同一性障害の人の体力・運動能力測定を行った。測定に協力していただいたのは20歳代のMTF(男性から女性へ移行しようとしている人)で、全員が20歳前後からホルモン療法を開始していた。体格的には同年代の女性の基準範囲内に入っており、体力・運動能力測定の結果も一般的な同年代の男女の基準範囲がオーバーラップした範囲内であった。 また、性同一性障害の人の施設利用についてのアンケート調査を、全国の健康運動施設と障害者優先・専用運動施設を対象に実施し、181施設(38%)から回答を得た。現在、あるいは以前に性同一性障害の人の利用があった施設が27施設(15%)あった。性同一性障害の人から、移行したいと望んでいる側(MTFなら女性側、FTMなら男性側)の設備を利用できるか問い合わせがあった場合の対応としては、本人の状況などを確かめて個別に判断するとの回答が約6割を占めた。次いで、戸籍が変わっていれば利用可能との回答が2割弱あり、外見に違和感がないほうが利用可能とする回答が多かった。また、トイレや更衣室等の使用についてトラブルになる可能性が一般の利用者と比べて高いと思うとの回答が7割弱認められた。それ以外の事項についてトラブルになる可能性については5割弱が一般の人よりも高いと思うと回答していたが、同時に調査した発達障害や認知症の人についての同様の設問よりは低い値であった。 運動施設を対象としたアンケート調査から、トイレや更衣室など男女別に分かれる設備の利用時に問題が生じる可能性があるが、多目的トイレや個室の使用などにより回避しうる可能があるものと考えられた。実際に、性同一性障害の人の利用があった施設から、そのような対応により問題なく利用していただけたとのコメントもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
性同一性障害の人の体力・運動能力測定を行うため、研究協力者を募っているが、予定していた人数の協力者を得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
性同一性障害の人に対する体力・運動能力測定を継続して実施する。今年度は十分な人数の協力者が得られなかったため、募集方法を見直し、性同一性障害などの自助グループなどにも協力を依頼していく予定である。 また、本年度は健康運動の観点から、健康増進施設などでの利用受入れについて調査を行ったが、次年度は競技スポーツの観点から、マラソン大会実施組織、各種競技団体を対象とした調査を実施する予定である。同時に、一般の人が性同一性障害の人が競技スポーツに参加することにどのような考えを持っているかを明らかにすることを目的とした調査も実施する。
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Causes of Carryover |
性同一性障害の人の体力・運動能力測定を行うため、研究協力者を募っているが、十分な人数の協力者を得ることができず、体力・運動能力測定の費用が予定していた予算を下回った。 次年度については、研究に協力していただける方を増やすために、研究協力者の募集方法の見直しを行う予定である。特に、今年度は体力・運動能力測定を実施する施設の近隣(岡山・倉敷市内)の方を中心に募集を行っていたが、次年度は募集地域を広げて、中国四国地方の方を対象とすることにしている。これに伴って、当初予定していた体力・運動能力測定費用に加えて、体力・運動能力測定を行う施設までの交通費を追加計上する。
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Research Products
(3 results)