2018 Fiscal Year Research-status Report
性同一性障害とスポーツ ~治療に伴う運動能力変化と競技スポーツへの参加~
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16K02036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
関 明穂 岡山大学, 保健学研究科, 客員研究員 (20314685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 久雄 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 教授 (30135967)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 性同一性障害 / トランスジェンダー / スポーツ参加 / 体力・運動能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
性同一性障害の人の体力・運動能力測定を前年度に引き続き実施した。これまでに測定に協力していただいたのは20歳代のトランス女性で、全員がホルモン療法を受けていた。測定を行った人の体格、体力・運動能力測定の結果は、同年代の男性・女性の基準値がオーバーラップしている範囲内であったが、測定数が少ないため、さらに例数を増やして検討を行う必要がある。 また、性同一性障害・トランスジェンダーの人がマラソン大会に参加することについてのアンケート調査を、大会の主催者を対象として実施した。449件(回収率47%)の回答のうち、時間計測を行っていて男女別の種目があるとの回答があった395大会について分析した。これまでに性同一性障害・トランスジェンダーの人が参加したことがあるとの回答が14大会(3.6%)からあった。もし、性同一性障害・トランスジェンダーの人から「男女どちらのカテゴリーで参加可能か」との問い合わせがあった場合、どう回答するかを聞いたところ、「本人の申告する性別で参加してもらう」が約4割で最も多く、次いで「その人の状況に応じて判断する」「戸籍上の性別で参加してもらう」の順であった。また、性同一性障害・トランスジェンダーの人がマラソン大会に参加する場合に問題が生じる可能性があることとして、約8割が「更衣室」を、約6割が「トイレ」「上位入賞時の扱い」「男女どちらのカテゴリーで参加するか」と回答していた。マラソンは順位を争う競技スポーツの側面と、多くの市民ランナーが参加する健康スポーツの側面とを有している。マラソン大会の主催者は健康スポーツの観点から多くの人に本人の希望に添った形で参加してもらいたいとの思いがある一方で、競技スポーツの観点から競技の公平性を保つために、どのような条件で性同一性障害・トランスジェンダーの人の参加を認めるのがよいのかが課題であると考えているものと思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
性同一性障害・トランスジェンダーの人の体力・運動能力測定を行うため、研究協力者を募っているが、検討に十分な人数の協力者をまだ得ることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
性同一性障害・トランスジェンダーの人の体力・運動能力測定を継続して実施する。なお、これまでに検討に十分な人数の協力者をまだ得ることができていないため、より簡便でどこでも実施可能な方法での体力測定を新たに計画に加えることにより、測定数を増やす予定である。 また、性同一性障害・トランスジェンダーの人たちが競技スポーツに参加することに関してのアンケート調査を、当事者および一般の人を対象として実施する。
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Causes of Carryover |
性同一性障害・トランスジェンダーの人の体力・運動能力測定を行うため、研究協力者を募っているが、当初予定していた人数の協力者を得ることができず、体力・運動能力測定の費用が予定を下回った。 次年度については、性同一性障害・トランスジェンダーの人の体力・運動能力測定を引き続き継続して実施するとともに、より簡便でどこでも実施可能な方法での体力測定を新たに計画に加えることにより、測定数を増やす予定としている。
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Research Products
(2 results)