2016 Fiscal Year Research-status Report
日本のアニメ作品が海外の観光地形成に与えた影響に関する研究
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16K02066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山村 高淑 北海道大学, 観光学高等研究センター, 教授 (60351376)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アニメ / 海外観光地 / 観光地形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本のアニメ作品が海外の観光地形成に与えた影響を以下の二点から明らかにしていくことにある。すなわち、これら作品が、日本人の海外旅行動機の形成にどのような影響を与えたのか、そして、舞台地の観光地形成にどのような影響を与えたのか、の二点である。平成28年度は、これら目的を達成するための基礎的調査として、大きく以下の三つの調査を行った。 第一に、1970年代の『世界名作劇場』9作品における原作イメージ、舞台地イメージの投影実態に関する資料整理である。これら9 作品の舞台地を原作から把握するとともに、アニメ製作背景ならびにロケーションハンティング(当時の製作陣による現地取材)の実態について文献資料調査を中心に把握し整理を行った。 第二に、日本のアニメ作品ならびに関連文化がきっかけとなって海外の旅行目的地を形成している最新の事例として、海外におけるアニメイベント、ならびに、海外において日本のアニメ文化の影響を強く受けて形成された文化による観光プロモーションの事例について、具体的にアニメエキスポ(米国)、高雄・台南(台湾)の事例を取り上げ、実地調査を行った。 第三に、参考事例として、日本で語られている歴史的物語が、海外のデスティネーションイメージを生み出す例として、慶長遣欧使節についての調査を行った。 以上の調査結果を基に、1970年代から現在に至る期間に、日本のアニメ作品が海外の観光地形成に与えた影響に関する基本的な流れを仮説的に整理した。これを基に、次年度以降は1970年代の『世界名作劇場』9作品のさらなる分析と、具体的な現地調査、その後、現在に至る流れの実証的研究につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務が多忙を極め、十分な研究エフォートが確保できなかったため、当初予定を達成することはできず、必要最低限の基礎的調査研究を遂行したにとどまってしまった。また論文、調査報告等の執筆も同様の理由から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
特に当初予定していた9 作品の各舞台地に関連する政府観光局や旅行業者等へのヒアリングならびにアニメコンテンツ流通関係者へのヒアリング調査を急ぎ、これらの作品の中から、現地調査を実施する作品を選定する。具体的には、アニメ作品の現地での放送実態、アニメ作品が現地の観光地整備に与えた影響、観光地でのアニメ作品イメージの受容実態、旅行者の構成や旅行者におけるアニメ作品の知名度(原作を旅行のきっかけとする旅行者とアニメ作品をきっかけとする旅行者の比率や嗜好の違い)などについて、基礎的情報を収集・整理する。そのうえで、アニメ作品が原作舞台地に与えた影響が大きいと思われる作品を2 作品程度選定し、影響の実態について現地調査を行うことで、これまで得た情報の妥当性を検証する。また、これらの成果を論文、調査報告等の形で刊行することを目指す。 なお、目下、学内業務が多忙を極める一方であり、研究のための時間、とりわけフィールド調査時間を確保することが極めて困難な状況にあることが最大の課題である。今後はこの点の改善を全力で進める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた現地調査が実施できなかったため。(学内業務が多忙を極め、十分な研究エフォートが確保できなかったため、当初予定を達成することはできず、必要最低限の基礎的調査研究を遂行したにとどまってしまった。)
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に時間を確保し実施する。
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Research Products
(1 results)