2019 Fiscal Year Annual Research Report
Feminist Interpretations of Critical Theory
Project/Area Number |
16K02122
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
入谷 秀一 龍谷大学, 文学部, 准教授 (00580656)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フェミニズム / セクシャリティ / 精神分析 / エロス / 弁証法 / アドルノ / ナラティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
フェミニズムを単なる「運動」ではなく「理論」として捉える上で、注目すべき観点は三つある。それは精神分析、身体性、そして語りである。私が2018年に公刊した『バイオグラフィーの哲学』はこの観点をフェミニストがどのように血肉化したか、その経緯を概観するものだった。この著作については幸いにも、2019年2月のシンポジウム「「私」の変容、愛の変容 入谷秀一『バイオグラフィーの哲学』合評会」(國學院大學)に取り上げられ、好評と実りある批判を頂いた。前回の報告書では、そのリプライ論考を2019年度中に発表する予定としていたが、実際にこれは論考「理想的読者について」(『龍谷紀要』第41巻第1号、2019年9月)として公刊された。また、当該プロジェクトの2年目に出されていた論考「女達の影、女という影――アドルノのセクシャリティを覗く(1)」(『龍谷紀要』第39巻第1号、2017年9月)の続編が今年度、「エロスと弁証法――アドルノのセクシャリティを覗く(2)」(『龍谷哲学論集』第34号、2020年1月)として公刊された。さらに、フェミニズム的な語りの意味を文学や現象学の立場から掘り下げる試みとして、「意味が立ち上がるとき――物語論の諸相」という題目のもと、第41回日本現象学会シンポジウム「文学を通じての哲学――現象学の可能性を探る」(岡山大学、2019年11月23日)において口頭発表を行った。 また国際交流については、2019年9月12日から三日間、オルデンブルク大学(ドイツ)で開催された国際学会「3rd Istanbul-Oldenburg Critical Theory Conference: History, Progress, Critique」に参加し、発表こそ行わなかったが、人的交流と動向調査の両面において、実りある成果を得た。
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