2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02128
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
久高 將晃 琉球大学, 法文学部, 准教授 (80398304)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 普遍化原理 / 討議倫理学 / 超越論的語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本「研究の目的」は、討議倫理学の総合的研究を完成させるために、討議倫理学の道徳原理である「普遍化原理」を(1)現実的な討議倫理学のために新たに定式化し、(2)根拠付けること、である。 この目的のために、「研究実施計画」によれば、今年度(平成28年度)は、目的(1)すなわち「普遍化原理」の定式化のために、「普遍化可能性」と討議倫理学の「普遍化原理」に関する研究を考察し、まとめる計画であった。しかし、資料の関係もあり、今年度は、目的(2)すなわち「普遍化原理」の根拠付けに関するこれまでの研究を読解し、分析し、考察した。具体的には、ハーバーマスによる「普遍化原理」の根拠付けに関する、W. Rehg (1991)、H. Keuth (1993)、E. Tugendhat (1993)、K. Malowitz (1995)、K. Ott (1996)、Chr. Lumer (1997)、U. Steinhoff (2006)の諸論考を読解し、分析し、考察した。その結果、ハーバーマスによる根拠付けの問題が明らかになった。その問題とは論点先取である。しかし、考察を進める中で、遂行的自己矛盾に基づいた超越論的語用論的なアプローチによって、論点先取を回避し、「普遍化原理」を根拠付けるというアイディアを得た。そして、このアイディアを、「研究実施計画」に従って、琉球大学で開催した討議倫理学研究会において、発表し、議論し、有益な示唆を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度(平成28年度)は、研究目的の一つである「普遍化原理」の定式化に関する文献の読解、分析までを予定していたが、資料の関係もあり、もう一つの研究目的である「普遍化原理」の根拠付けに関する文献の読解、分析、考察を行った。当初は、文献の読解、分析まで進む予定であったが、考察が捗り、論点先取を回避できるような「普遍化原理」の根拠付けのアイディアまで研究を進めることができた。又、「研究実施計画」に従い、討議倫理学研究会を開催し、そのアイディアについて議論を行い、様々な示唆を得ることができた。確かに、「研究実施計画」で予定していた、批判的社会理論研究会への参加は行うことができなかったが、以上の研究の進捗状況から、完全に「研究実施計画」通りに、研究が進展しているわけではないが、おおむね順調に進展していると、自己評価できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、第一に、今年度(平成28年度)には実施できなかった「批判的社会理論研究会への参加」を行い、国内の研究者と意見交換をしたい。 第二に、研究目的の一つである「普遍化原理」の根拠付けを完成させたい。 第三に、もう一つの研究目的である「普遍化原理」の定式化に関する諸論考の読解及び分析を行いたい。 第四に、これらの成果について、ドイツの研究者と意見交換を行うか、あるいは、討議倫理学研究会を開催し、発表、議論を行いたい。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、「研究実施計画」の一つである「批判的社会理論研究会への参加」を、今年度、実施できなかったことにある。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、「研究実施計画」に従い、第一に、批判的社会理論研究会への参加、並びに、ドイツの研究者との意見交換あるいは討議倫理学研究会の開催のために、旅費として研究費を使用する計画である。 第二に、研究文献の購入のために、物品費として研究費を使用する計画である。
|