2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02181
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岩田 文昭 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00263351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碧海 寿広 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80710813)
吉永 進一 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90271600)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近代仏教 / 近角常観 / 綱島梁川 / 清沢満之 / 暁烏敏 / ミスチシズム / 西田天香 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、岩田文昭は近角常観の研究を中心に、綱島梁川と西田天香との関係について探求をした。その成果の一部は、日本宗教学会第75回学術大会でパネル「明治期における宗教体験の語りとその伝播」で発表をした。また、鎌倉・松ヶ丘文庫の調査に加わり、鈴木大拙関係の一次資料の状況を確認した。大拙とフロムとの往復書簡や田辺元発の大拙宛書簡の存在を発見した。また、阿闍世コンプレックスを提唱した古澤平作の仏教的背景を親鸞の韋提希理解から解明した英語論文を刊行した。それに加え、古澤と浄土真宗との関係を論じた『仏教精神分析学』の書評、ならびに清沢満之についての研究書『清沢満之と近代日本』の書評を著した。 そのほか、岩田は新たに近角常観宛ての書簡、200通ほどの存在を発見した。その中には、宮沢賢治一族の書簡も数通あった。また、愛知県常滑市の「谷川徹三を読む会」に参加し、研究発表をするとともに、この会が所蔵する谷川宛の書簡の調査に取り組んだ。この会のメンバーとともに、台湾求道会を主宰した山下成一の書簡の分析を行った。 碧海寿広は、清沢満之をはじめとする近代真宗大谷派の改革的な仏教者による宗教思想と体験の内実について、関連の文献から考察を進めた。その成果の概要を『入門 近代仏教思想』において公表した。また特に暁烏敏の宗教体験の構造を、明治期の読書文化の進展という観点から検討した英語論文を発表した。 吉永進一は、明治20 年代の仏教雑誌におけるヨーガ、神秘主義関連の資料を集め、分析に取り掛かった。また松ヶ丘文庫で発見した資料を分析した成果を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本宗教学会第75回学術大会でパネル「明治期における宗教体験の語りとその伝播」を開催したことは本研究の計画よりもかなり早いものであった。また碧海寿広が『入門 近代仏教思想』を刊行したことも、当初の予定よりかなり早いものであった。これらの点においては、当初の計画よりも進んでいるものの、他方、元良勇次郎についての研究は進んでおらず、また鈴木大拙の資料調査も予定より遅れている。そのため全体としては、「おおむね順調に進展している」と考えるのが妥当であろう。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、28年度の研究をより進めることになる。ただし、鈴木大拙の研究をさらに推し進め、より広い分野で研究を展開するために、若手の近代仏教研究者を研究チームの一員に加える予定である。
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Causes of Carryover |
当初、予定をしていた新訂版『鈴木大拙全集』が28年度分の予算では、購入するのが困難であった。そのため予算に残金が出た。また29年10月に青森県での日本倫理学会での発表の内定があったので、旅費を残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度分の予算と合わせて、上記『鈴木大拙全集』を購入する予定である。 また上記の青森県での研究発表で旅費を使用する予定である。
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Research Products
(10 results)