2018 Fiscal Year Research-status Report
シリア・キリスト教研究 - アラム的視点からキリスト教を問い直す
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16K02214
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
竹田 文彦 清泉女子大学, 付置研究所, 教授 (60319811)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シリア / キリスト教 / 原典翻訳 / 研究書翻訳 / エフライム / アフラハット / 事典項目執筆 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、科研費研究三年目として、一年目に研究を進めたシリア語訳聖書の研究(出版社の都合により出版が遅れているが、その成果は、『聖書から見るアジアの翻訳文化~周縁からの視点』 日本基督教団出版局 に掲載予定。)、ならびに二年目に力点を置いて研究したイスラム勃興とシリア・キリスト教の関係(すでに学会発表や論文として発表)を踏まえつつ、より深くシリア・キリスト教の思想史的意味を明らかにするための研究を行った。具体的には、科研費を用いてイギリスのオックスフォード大学に赴き、資料調査を行うことによりシリア・キリスト教独自の修道生活に関する論文「シリア・キリスト教における原始修道制」を執筆、本年度(令和元年)秋、学会発表を計画している。またシリア・キリスト教における初期の著作家であり、よりアラム的性格が表れているとされるニシビスのエフライムの著作『楽園讃歌』、ならびにペルシアの賢者と称されるアフラハートの『論証』といった著作のシリア語からの翻訳作業に取り組んだ。これらの著作は、わが国ではまだ翻訳されたことがなく、全文を翻訳出版することによってシリア・キリスト教の思想的特質と意義を多くの人に知って頂きたいと考えている。また、日本基督教学会よりこの度、全面的改訂が企画されている『キリスト教大事典』の中のシリア・キリスト教に関わる19項目について執筆を依頼され、今年の9月までに原稿を完成させるべく取り組んでいる。さらにシリア・キリスト教に関する優れた研究書であるS.P.ブロック『ニシビスのエフライムの霊的世界』(仮題)を邦訳出版すべく、翻訳作業続けてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外に発注した研究のための図書の入手が研究が多少遅れたものの、海外の大学に夏休みに直接資料調べに赴き補うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後ともさらに研究を進め、学会発表、ならびに論文執筆を行う。さらに最終年には、これまで継続してきたシリア・キリスト教著作のシリア語原典からの翻訳を完成し、シリア・キリスト教の思想史における重要性を知ってもらうために是非とも出版したい。また、依頼されている『キリスト教大事典』のシリア・キリスト教関連項目の執筆を原稿締切の9月末までに終わらせる。また夏にイギリスで開かれる専門学会(International Patristic Conference)にも参加し、他国の研究者との意見交換も行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として残した部分を使ってこれまでの研究をまとめ、成果を書籍としての出版などにつなげたい。そのための費用としての使用を計画している。
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