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2019 Fiscal Year Research-status Report

隠喩としての発達障害 ―近代性の精神分析学的・精神病理学的研究

Research Project

Project/Area Number 16K02220
Research InstitutionKyoto Koka Women's University

Principal Investigator

長田 陽一  京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (20367957)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
Keywordsメタファー / 発達 / 障害 / 歴史性
Outline of Annual Research Achievements

発達障害(自閉症スペクトラム、AD/HD、学習障害等)は、中枢神経系に高次の機能障害が推測されるものの、今のところ原因を特定できず、時に「目に見えない障害」と言われる。このような発達障害(者)の特徴は、しばしば「障害」をその人のpersonalityに帰属させる傾向を生じさせている。発達障害(者)における、個人的特性と「障害」の区別の困難性は、とりわけ発達障害者との関わりがなかった者にとっては、しばしばpersonalityに関する偏見やレッテル張りの一因となっていることが考えられる。
これらを踏まえ、従来なされてきた本質理解(原因追及)とは異なる観点から、発達障害という言葉(概念)を隠喩(メタファー)として捉えなおし、その諸作用を検討することを目的とした研究の一環として、当該年度は以下の研究を実施した。

精神療法(心理療法)のメタファー
私たちが現実をいきいきと感じるために、イメージやメタファーを必要とするのは何故なのか。そこで把握されたアクチュアルな現実とは、リアルな現実と異なるものなのか。そして、自由主義や資本主義といった現在の私たちを取り巻く世界観を踏まえながら、人は自分たち(ヒト)を表現するためにどのようなイメージやメタファーを採用してきたのか。このような内容について、アクチュアリティ(actuality)という語のもつ三つの次元(現実性、現実化、現代性)から、歴史的観点へと迂回しつつ検討を試みた。
「精神療法のアクチュアリティと歴史的〈人間〉の再検討」精神療法,第45巻,第6号,金剛出版,20019年12月.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「発達」や「障害」の概念における、近代以降の目的論的な人間観の影響について検討を行っている。それぞれの隠喩(メタファー)は、近現代人の価値観(人 間主義的、個人主義的、合理主義的、あるいはロマン主義的)と密接に関連している。しかし、近現代人の価値観を客観視する際に、より広範囲な進化の視点が どうしても必要であり、これをこれまでの研究と繋ぎ合わせるための新しい座標軸を検討しているところである。

Strategy for Future Research Activity

発達障害を隠喩、すなわちイメージや情動を産出する一つの概念装置と捉える観点を提示し、これを思想史的かつ精神分析学的・精神病理学的に検討する。これにより、提起されて半世紀程のこの新しい概念が、現代において近代性(人間主義、合理主義、個人主義)を暗黙のうちに補強する構造と機能を明らかにし、同時にそれを内破する可能性を考察する。計画している具体的な研究項目は、(1)「発達」の概念、(2)「障害」の変容、(3)コミュニケーションの問題、の3つである。

Causes of Carryover

購入を予定していた電子機器等に関して、研究の進捗状況を鑑み次年度以降に変更したため。
また、新型コロナウィルスの影響により、学会や研究会への参加を見合わせたため。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 精神療法のアクチュアリティと歴史的〈人間〉の再検討2019

    • Author(s)
      長田陽一
    • Journal Title

      精神療法

      Volume: 45 Pages: 813-818

URL: 

Published: 2021-01-27  

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