2019 Fiscal Year Annual Research Report
Postwar Art History on Fusion of Art and Daily Life from the Perspective of Consumer Society
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16K02231
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加藤 有希子 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (20609151)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 毒 / 麻薬 / ファルマコン / 仏教 / 孤独 / アメリカ美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度から2018年度までは、「芸術と生活の融合」というテーマで、各地の芸術祭のことを取り上げ、論文や学会発表をしてきた。しかし2019年度は、各地の芸術祭における芸術の質の低下や、主催者側とのなれ合いによる芸術的レヴェルの低下などが否めなくなったため、方針を変え、「毒」と「孤独」にテーマを絞った。「毒」(日常生活での漠然とした悪意)や孤独(近代の都市生活でとりわけもたらされる)は、芸術家たちの日常生活に巣食うものだが、それらが彼らの芸術の昇華にどうもちこまれたかに注目した。 【招待講演】「この世の毒とアーティストの使命――マイルド化する社会で」2019年11月17日では、世の中にはびこる悪意にアーティストがどう向き合い、それを芸術活動に昇華させるべきか、アーティストこそ持ちうる使命を明らかにした。 【公開講座】「ロスコ、コーネル、フレヴィン、孤独への旅、あるいは恒星の国アメリカ」11月23日では、ロスコ、コーネル、フレヴィンといういずれも孤独にさいなまれたアメリカのアーティストを取り上げ、アメリカ社会の持つ孤独と、彼らの孤独との関連性を明らかにした。 【学会発表】「オルダス・ハクスリー試論――箱にも入らずカリフォルニアで堂々と」、シンポジウム「ファルマコン――生命のダイアローグ――」2019年12月22日。【論文】「オルダス・ハクスリーの挑戦――箱にも入らずカリフォルニアで堂々と」、『ポワゾン・ルージュ 2』では「ファルマコン」という、毒にも薬にもなるものが研究プロジェクトのテーマであったが、そのなかで、作家のオルダス・ハクスリーが現実世界でもフィクションの中でも、麻薬の使用を推奨し、それが彼が描く世界観や倫理観にどう影響しているかを明らかにした。ハクスリーは麻薬の使用と仏教の信仰を相通じるものと考え、それが理想の生活を実現すると考えていた。
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Research Products
(4 results)