2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02264
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| Research Institution | Gifu University |
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Principal Investigator |
野村 幸弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (20198633)
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2016-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 十一面観音像 / 観音菩薩像 / 様式分析 / 制作年の確定 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である「円空彫刻作品のカタログ作成」のため、平成28年度は、東北・北海道に残る円空作品について、2016年8月20日から8月29日までの10日間にわたり調査を行った。作品の所有者の許諾を得て、撮影ができた作品は以下の20点である。秋田（大薗寺、観音菩薩像・愛宕神社、十一面観音像・大泉寺、観音菩薩像・本荘郷土資料館、観音菩薩像・当福寺、観音菩薩像・個人蔵、観音菩薩像・赤神神社、十一面観音像・男鹿市役所教育委員会歴史資料収蔵庫、観音菩薩像・大太鼓の館、観音菩薩像・宗福寺、十一面観音像）、青森（西福寺、十一面観音像、地蔵菩薩像・普門院、十一面観音像・胸肩神社弁天堂、十一面観音像・正法院、観音菩薩像・元光寺、観音菩薩像・西光院、観音菩薩像・長福寺、十一面観音像）、北海道（称名寺、観音菩薩像・樽前神社、観音菩薩像）。なかでも秋田市、個人蔵の観音菩薩像と男鹿市歴史資料収蔵庫寄託の個人蔵、観音菩薩像を撮影できたことは計画外の成果であった。
今回の撮影による各仏像の細部写真（眉・目・鼻・口・手・指・足・衣襞）を用いて、詳細な様式分析が可能となった。とくに秋田、青森、北海道に残る十一面観音像の各細部の様式を比較すると、これまで、円空の東北・北海道の足取りについて、①津軽半島→北海道→下北半島→秋田、②下北半島→北海道→津軽半島→秋田、③北海道→下北半島→津軽半島→秋田の説に分かれていたが、様式発展の変化を辿ると、秋田→津軽半島→北海道→下北半島、というように、これら３つの説と反対であることが判明した。ただし、秋田、龍泉寺と北海道、上ノ国観音堂の十一面観音像の調査ができなかったため、結論には至っていない。その他、岐阜、藤谷円空堂（9月23日）、静岡、臨済寺の十二神将像（12月19日）、日光、清龍寺の不動三尊像（2月24日）、飛騨高山まちの博物館（3月18日）についても調査を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に行った東北地方に残る円空作品の調査では、2015年2月現在、確認されている円空作品32点中、20点まで完了したので、残り約3分の１となった。
また、北海道における調査では、現在、確認されている円空作品51点のうち、今回はわずか2点しか調査できなかったが、平成29年度研究計画にある関東地方の円空作品（日光、清龍寺の不動三尊像）、平成32年度研究計画にある東海地方の作品（岐阜、藤谷円空堂の円空仏17体、静岡、臨済寺の十二神将像、飛騨高山まちの博物館所蔵の円空仏）の調査を先行して進めている。
撮影した画像の色補正・トリミング・バック処理については、すべて終わっているわけではないが、論文に必要な写真資料については、そのつどデータ処理を行っているので、問題はない。
作品の様式分析により、東北から北海道へ渡り、再び東北へ戻った円空のルートを、作品の様式の変遷を考察することによって解明するという研究目的は、ほぼ達成できている。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に行った東北地方に残る円空作品の調査では、2015年2月現在、確認されている円空作品32点中、20点まで完了したが、秋田、湯沢市、愛宕神社の十一面観音像の写真公開は許可されず、当初、計画していた龍泉寺、菩提寺、常楽寺、善光寺の作品については、今回、撮影することができなかった。これらについては、平成29年度に再度、調査を行う予定である。
また、北海道における調査では、現在、確認されている円空作品51点のうち、わずか2点しか調査できなかったが、この点については、計画を変更し、平成29年度以降、32年度まで複数回、調査を行うことにした。
今回の調査で、円空作品の所蔵先、あるいは所有者によって、写真撮影の許諾方法や時期がさまざまであり、そのひとつひとつに対応しなければならないため、調査前にその準備を時間をかけて計画的に行う必要があると感じた。
撮影した画像の色補正・トリミング・バック処理については、とりあえず論文掲載時に使用するものに限って行い、デジタルアーカイヴ化してネット上で公開する最終年度に一括して行うことにする。
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| Causes of Carryover |
当初、平成28年度研究計画において、東北・北海道への調査旅行を2週間と予定していたが、大学業務の関係で、10日間しか取れなかったため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に再度、東北・北海道への調査旅行を行う予定である。
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