2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02264
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野村 幸弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (20198633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 円空 / 十一面観音像 / 観音菩薩像 / 様式分析 / 編年 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、引き続き、東北・北海道に残る円空作品について、平成30年8月28日から9月3日までの7日間にわたり調査を行った。作品の所蔵者・所有者の許諾を得て、撮影ができた作品は以下の5点である。青森(恐山菩提寺の十一面観音像、観音菩薩像、義経寺の観音菩薩像)、北海道(海神社の観音菩薩像2体)。 義経寺の観音菩薩像は、非公開だが、円空出生地の岐阜からの調査依頼ということで、特別に撮影の許可が下りた。とくに北海道寿都町、海神社の2体の観音菩薩像の公開は、8年に1度の機会で、その公開日である9月2日に調査の予定を入れた。今年度、下北半島むつ市恐山の菩提寺にある十一面観音像、および観音菩薩像の調査許可が下りたので、それらの詳細な細部写真(眉・目・鼻・口・手・指・足・衣襞)を撮影することが出来、その様式分析の結果、従来の説とはまったく逆に、秋田→津軽半島→北海道→下北半島という、円空の東北・北海道で辿った足取りの新しい仮説の確証を得ることができた。 9月16日には、第48回円空学会総会に参加、「東北・北海道の円空仏について」と題した研究発表を行い、その際、岐阜県下呂市萩原町の久津八幡宮と小坂妙喜堂で円空仏の撮影を行った。そのほか、宮城県の瑞巌寺(8月31日)、滋賀の三井寺(4月5日)、三重の真教寺(12月31日)の円空仏も調査したが、撮影の許可は出なかった。 3回にわたる東北・北海道の十一面観音像の実地調査をもとにした研究成果を新説として円空学会で発表し、学会誌「円空研究」第33巻に「東北・北海道における円空の旅路」を執筆。また「円空の東北、北海道旅路ルート新説」として岐阜新聞(2018年11月21日)に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度に行った東北地方に残る円空作品の調査では、2015年2月現在、確認されている円空作品32点中、26点まで完了した。残す調査地は、青森県平川市平賀町沖館神明宮と山形県立川町見政寺である。見政寺は、今回の調査日程に入れていたが、調査日がちょうど豪雨で断念した。 北海道における調査では、現在、確認されている円空作品51点のうち、今回は2点、調査し、これで計12点となった。実際に調査できない作品については、所蔵、管理している博物館等に写真資料の提供を申請し、資料の収集にあたっている。 北関東、愛知の円空仏の調査があまり進捗していないので、次年度、調査を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に調査を行った東北地方の円空作品は3点で、残りは6点あり、北海道の未調査の円空作品はまだ約40点もある。個人蔵、あるいは非公開の作品が数多くあり、すべての調査はむずかしいと思われるが、次年度も引き続き撮影の許可を求めていく。 円空学会の研究会、および調査に参加し、9月の例会で、東北・北海道に残る観音菩薩像の様式分析結果を発表する予定である。 平成30年度の北関東での調査はほとんど進捗しなかったので、次年度は、北関東での調査を再開し、岐阜・愛知・三重の円空作品の調査に着手したい。とくに岐阜県関市洞戸村の高賀円空記念館所蔵の円空作品を調査し、カタログを作成したい。
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Causes of Carryover |
(理由)平成30年度に東北・北海道への調査旅行を8月、および3月に予定していたが、大学業務、および調査・撮影の許可が下りなかった関係で、2回目の調査ができなかったため。 (使用計画)次年度、できるかぎり2回の東北・北海道、および北関東への調査旅行を行う予定である。
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Research Products
(3 results)