2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K02264
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
野村 幸弘 岐阜大学, 教育学部, 教授 (20198633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 円空 / 十一面観音像 / 不動明王像 / 修験道 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、緊急事態宣言が解除された10月以降、名古屋市の竜泉寺で馬頭観音像ほか2体、および千体仏(10月10日)、関市の神光寺で十一面観音像ほか3体(10月18日)、各務原市の金山寺で十一面観音像(10月20日)の撮影を行った。 また関東地方では、10月22日~24日に、群馬県高崎市の延養寺で天神像、みどり市の松源寺で薬師如来像、富岡市の黒川不動堂で十一面千手観音像の調査・撮影を行った。11月27日~29日には、埼玉県越谷市の弘福院で釈迦如来像、同市の安国寺で楊柳観音菩薩坐像ほか2体、加須市の大聖院で不動明王像、春日部市の香林寺で不動明王像の撮影を行った。12月17日~18日には、さいたま市立博物館寄託の不動明王像ほか5体、久喜市の西願寺で釈迦如来立像、久喜市郷土博物館で役行者像ほか2体、越谷市の西福寺で不動明王像ほか2体の撮影を行った。 北陸地方では、富山市の猪谷資料館所蔵で白山神像ほか7体(11月14日)、同市の光厳寺で善女竜王像ほか2体(11月15日)の調査・撮影を行った。関市の福田寺で白山神像と恵比寿像(10月27日)、美濃加茂市民ミュージアムで薬師三尊像ほか3体(11月4日)、富加町の龍福寺で地蔵菩薩像(12月8日)、同市の祐泉寺で観音菩薩像(12月8日)、富加町郷土資料館で観音像と地蔵菩薩像(12月8日)、関市の藤谷円空堂で17体(2月27日)、同市の円福寺で6体(3月11日)、尾張旭市のスカイワードあさひで聖観音菩薩立像ほか4体(3月18日)の調査・撮影を行った。 以上の調査から、北関東地方の円空仏は、修験道に関係する不動明王像の作例が増えている点に注目すれば、北関東に赴く前後の美濃・尾張における不動明王像との様式のつながりが明らかになることが分かった。そこから円空が美濃から、東海道ではなく、中山道を通って北関東へ旅したことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東北地方における未調査の円空作品は、個人蔵のものは別として、青森県の沖館神明宮所蔵の観音菩薩坐像1点だったが、今年度もまた新型コロナの影響で調査することができなかった。北関東地方の円空作品は、10月以降、3回にわたって、おもに不動明王像を調査することができたが、この地域の円空仏は個人蔵のものが多いため、調査・撮影の許可を取ることが難しく、十分な資料が収集できない状態にある。美濃・尾張地方の円空作品も、各箇所に1点から数点の所蔵で、しかもかなり広範囲にわたって散在しているため、やはり調査に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
東北地方の未調査作品は、青森県、沖館神明宮所蔵の観音菩薩像で、その調査を今年度行う予定である。この調査結果が得られれば、これまで調査できた東北・北海道の十一面観音像、観音菩薩坐像のカタログ、および北関東地方における不動明王像のカタログを和文・英文併記で作成する。 北関東の円空仏については、新型コロナ感染拡大のため非公開となっている水澤観音の阿弥陀如来坐像と妙義神社の不動明王像を再度、調査する予定である。また滋賀、長野、飛騨地方における円空作品の調査にも着手する。とくに下呂市合掌村、関市の円空館と洞戸円空記念館所蔵の円空作品は充実しているので、これらは個別にカタログを作成する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で調査に行くことができなかったため。未調査対象作品のある東北・北海道、北関東、関西地方への旅費、およびカタログ制作費に使用する。
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