2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Exploration into the Depth of Respighi's Art Songs
Project/Area Number |
16K02297
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鴨川 太郎 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40535473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レスピーギ歌曲 / 近代イタリア歌曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、1880年前後に生まれたイタリア人作曲家の歌曲群が、日本国内はもとより、世界中で脚光を浴びるようになっている。しかし、「リーリカ」と総称されるこのジャンルの概説的な研究は多少あるものの、演奏家や聴取者が真に必要とする研究にはまだ至っていない。 そこで、本研究は一般の愛好者も多く、また同世代の作曲家や次の世代にも多大な影響を与えたオットリーノ=レスピーギの全歌曲作品について、詩や楽曲の構造分析と歴史的背景などとの関連調査を行った上で、それらの融合状態を詳述することを目的としていた。 レスピーギがその歌曲のテキストとして採用している詩の作者たちは、ダンヌンツィオなどを除くと、わが国にあってはそれほど深く研究されているわけでなく、A.ネグリ、V.A.ポンピーリ、A.ビルガ等々の個人史的なアプローチもせざるを得なかった。 また、先行する他の作曲者による楽曲からの影響や、レスピーギの他ジャンルの作品、とりわけ交響詩ローマ3部作などへ歌曲作品が及ぼした影響も追究したうえで、当研究は詩と音楽の融合体としてのレスピーギ歌曲群を読み解いていったものである。 その成果の一部は北海道教育大学の紀要で2本の論文として公表済みであり、3本目は本年度内に公表する予定である。講演としての発表も二期会イタリア歌曲研究会で4回行っている。手引書や教科書の作成には本研究とは別の作業も発生し、一朝一夕には仕上がらないが、例えば当研究の演奏実践につながる成果としては、本年(令和元年)9月29日(日)にイタリア文化会館(東京・九段)での開催が決定されている、二期会イタリア歌曲研究会・定期公演「レスピーギ歌曲の世界」(企画・構成:鴨川太郎)も挙げられよう。
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