2017 Fiscal Year Research-status Report
新移民音楽の受容とフォーク音楽との関係を、音楽言説の観点から検討する
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16K02352
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
黒田 晴之 松山大学, 経済学部, 教授 (80320109)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大衆芸術 / フォーク / 新移民 / 音楽言説 / クレズマー / レベティコ / ギリシア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の「今後の研究の推進方策」でも示したように、The Klezmaticsの創設メンバーFrank London氏を5月に招聘し、東京藝術大学・立教大学・広島市立大学・大阪大学・京都大学とのコンソーシアム形式で、「東欧ユダヤ人の音楽「クレズマー」をめぐる対話」と題して、国内の研究者・関係者も加わり、かつ一般市民・学生にも開かれた、研究成果報告会・講演・ワークショップ・実演の場をもった。 この機会にLondon氏が書かれた文章や、ご本人から直接伺ったことを元に、クレズマー・リヴァイヴァルを集中的に調査した成果を、「クレズマー・リヴァイヴァル再考」と題して、京都人類学研究会のシンポジウム『共同体を記憶するーユダヤ/「ジプシー」の文化構築と記憶の媒体』(京都大学の岩谷彩子氏がコーディネイト)で口頭発表した。この内容をまとめて、同研究会のオンライン・ジャーナル「コンタクト・ゾーン」に、「クレズマー、あるいは音の記憶の分有 クレズマー・リヴァイヴァルまでの道のり」として投稿した(現在査読中)。 「新移民」が録音した音楽は、"ethnic recordings"というカテゴリーに区分され、かれら以外のポピュラー音楽とは明確に区別された。これからの研究調査ではそうした新移民の音楽が、アメリカのフォーク音楽の規範に吸収されなかった事情を、Alan Lomaxらが対象にしたいわゆる「アメリカン・ルーツ」の音楽などと対照させながら、音楽をめぐる言説から裏付けていく作業を進める。 これらの研究と平行してギリシアの音楽「レベティコ」についても、従来の研究を歴史学の立場から総括した単著の翻訳を開始し、ミュンヘン大学教授の著者Ioannis Zelepos氏に現地でヒアリングを行なうとともに、頻繁に意見・情報を交換していることを付言しておく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも示したように、Frank London氏・Ioannis Zelepos氏に、ヒアリングが出来たことは、本研究課題を進めるうえで大きな示唆となった。 京都人類学研究会のシンポジウム『共同体を記憶するーユダヤ/「ジプシー」の文化構築と記憶の媒体』に参加して、本研究課題を「記憶」の点から見直すことができた意義も大きい。 さらにニューヨークのユダヤ学研究所YIVOで、サウンド・アーカイヴを初めて構築したHenry Sapoznik氏とも連絡が取れた。このことで1950年代生まれのユダヤ系アメリカ人の音楽環境が明らかになり、フォーク・リヴァイヴァルへのユダヤ人の関わり、クレズマーの世代毎の違いを再検討する新しい手掛かりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとに、「新移民」の音楽とフォーク音楽との関係を、当時の刊行物を中心にさらに精緻に調査する。Henry Sapoznik氏からは引き続き、本研究課題にたいする助言を求める予定である。2018年度前半には調査機関の対象を絞り込んで、現地での資料収集を年度末に実施する。
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Causes of Carryover |
年度末に一部の未使用額が残った。
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Research Products
(2 results)