2021 Fiscal Year Research-status Report
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16K02370
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岸本 理恵 関西大学, 文学部, 教授 (10583221)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 書誌学・文献学 / 古典籍 / 書写 / 藤原為家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、藤原為家の古典籍書写が単独でおこなうのみでなく、為家の監督のもと周辺の人々を動員しつつ集団で行なっていた実態とその意義を明らかにすることを目的としている。そのため、1点ずつの写本調査に基づいて分析することが不可欠である。しかし、今年度も特に年度初めは新型コロナ感染症の感染拡大防止のため、緊急事態宣言とまではいかなくとも蔓延防止措置が続き、写本そのものの実見調査に重きを置く本研究としては遂行に制約が大きくあった。すなわち、大阪府は常に感染拡大地域であったため他府県への訪問は遠慮され、変化し続ける感染状況の中で、実見調査の計画を立てることは困難であった。また、感染症拡大防止のための急なオンライン授業への対応もあり、行動・労力・時間ともに大きな制約を受け、研究の遂行は難しいものがあった。 しかしながら、蔓延防止措置の状況下であっても、府県をまたぐ移動が次第に容認されるなどの動きを受け、3月には実見調査を実施することができた。2021年度内に具体的な成果へと結び付けるには至らなかったが、これに引き続き調査を重ねつつ、本来めざしている藤原為家による監督書写の様子を解明する成果へとつなげていく見通しを得ることができた。 また、今後にむけ調査を実施する下準備として、美術館や大学図書館などの機関が所蔵する藤原為家の書写に関わると思われる写本の所在やアクセスについて調べることもおこなった。これをもとに、2022年度の調査の実施計画や、効率的に研究を推進していくための方針について改めて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の「研究実績の概要」に述べたとおり、行動・労力・時間ともに研究の遂行には大きな制約を受けた。ただし当初予定した順とは異なるが、資料の種別を問わず検討をするほか、今後の調査について改めて効率的な方針を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進行速度を上げるべく、2021年度末から既にアルバイトの雇用を導入した。2022年度は2020・2021年度とは異なってより多くの調査を実施し、2021年度の調査と合わせて、為家監督書写本についての知見をまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
これまで出張を行えなかったので2022年度の使用額は、旅費に重きを置いて約4割を、また研究の遅れを取り戻すべくアルバイトの活用を当初計画よりも増やし人件費約3割、その他に文献複写や書籍を始めとした物品費を約3割とする使用計画である。
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