2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02410
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新城 郁夫 琉球大学, 法文学部, 教授 (10284944)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 沖縄文学 / 沖縄学 / アメリカ / ペリー表象 / 帝国 / 世界史 / 戦争 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度当該研究における成果実績は、基礎資料の調査収集の進捗の良好さに示されている。国立図書館等の施設において数回に渡る資料収集に当たり、同時に、沖縄県内の各図書館や研究施設において沖縄文学成立に関する文献資料調査を行い、歴史家鹿野政氏をはじめとする研究者への聞き取りをおこなった。こうした基礎研究を通じて近現代沖縄の文学思想史関連の資料が収集された。 こうした収集作業を踏まえて、次のような国際学術会議での発表を行った。1つは、立教大学文学部日本文学設立60周年記念国際シンポジウム「戦後の東アジアにおける日本語文学──移動・交流・支配──」での「想起させられ忘却させられるアメリカ―沖縄文学における「ペリー来航」表象について ―大城立裕『カクテルパーティー』(1967)から上間正雄『ペルリの船』(1911)へ―」(2016年6月12日)、2つ目が、韓国・益山市益山大学での「国際・地域学研究シンポジウム」での「横に開かれていく沖縄学のために」(同年11月4日)である。そこで沖縄文学そして沖縄近代の学知がどのような他者認識において形成されたかを示し、現在これを論文化しているところである。 また、本年度の本研究成果として次の3本の論文を発表した。1.「帝国継承の彼方の沖縄へ」(『ピープルズプラン73号』)、2.「『沖縄の被爆者』の声」(『被曝70年ジェンダー・フォーラムin広島「全記録』ひろしま女性研究所刊)、3.「横に開かれていく沖縄学のために」(『韓国益山市地域学国際シンポジウム報告集』韓国語)。以上、研究実績報告とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当該研究の初年度に当たり、基礎資料の調査収集が計画上での主眼となる。この点、今年度研究は、特に沖縄文学成立期における歴史認識や思想史的文脈に関する資料調査収集において進展がみられ、これまで沖縄文学研究で閑却されがちとなってきた世界史的文脈の研究や思想史的社会史的文脈の探索を進めることができた点において順調な進展があった。また、こうした基礎資料調査収集と並行する形で、沖縄文学成立に関連してくる論文3本を発表し、同時、2つの国際学術会議での口頭発表で沖縄文学成立に関する歴史認識と表象の歴史性を明らかににできた点で進展が見られた。以上の点をふまえて、「おおむね順調に進展しいる」という自己点検・評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度口頭発表できた「戦後の東アジアにおける日本語文学──移動・交流・支配──」での「想起させられ忘却させられるアメリカ―沖縄文学における「ペリー来航」表象について ―大城立裕『カクテルパーティー』を、現在論文化しているところであり、この刊行を急ぐ。また歴史家・鹿野政直氏の聞き書き及び対談を公刊する予定であり、当研究の進捗の一環として位置づけられるものとする。加えて、引き続き沖縄文学成立に関する基礎資料調査取集を進め、これを踏まえた論文を発表していく方策である。
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Causes of Carryover |
購入した「近代沖縄新聞資料復刻dvd」が、当初見込んでいた金額より少額で済んだことに加え、旅費も当初見込みより割安料金による手続きが可能となったことが重なり、9万円ほどの金額が次年次に繰り越される結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の資料調査収集は、本年度以上に出張による国会図書館等での調査が必要となる予定であり、繰り越しとなる金額は、この旅費に当てる計画である。
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