2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive study of MORI Atsushi's literature by self-written data survey and field survey
Project/Area Number |
16K02417
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
井上 明芳 國學院大學, 文学部, 教授 (90614264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 森敦 / われ逝くもののごとく / 意味の変容 / 自筆原稿 / 翻刻 / 現地調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、森敦「われ逝くもののごとく」の自筆資料調査および現地調査を行うとともに、研究会を開催し、得られた研究成果について、公開するとともに検証を行った。 自筆資料調査については、これまでどおり翻刻を中心とし、「われ逝くもののごとく」の生成の過程を明るみにした。森富子氏によって保存された資料は、他に類を見ないほどの膨大な数であり、そのため、本作品の生成についてより細かく捉えることができる。この資料的な側面は、書誌的な観点からの研究と言える。 その観点と合わせて、現地調査に基づいて検証した。現地調査は、作品に描かれる土地のイメージを実際に確認しつつ、物語の風景の体験となる。それは作品の文章を体験する行為でもある。書き換えられていく作品の文章は、そのつど違うイメージを生み出しているが、実際の風景によって、統一的なイメージを見出すことができる。それは森敦が生涯を賭けて完成させた文学理論である「意味の変容」を確実に想起させることとなった。そのため、「われ逝くもののごとく」を中心にしつつ「意味の変容」を検証する必要が出て来た。 2018年12月15日、國學院大學において第3回森敦研究会を開催した。本研究の当初からご協力をいただいてきた黒田大河大阪樟蔭女子大学教授、中村三春北海道大学大学院教授に、本年度もご参加いただき、「意味の変容」をめぐってシンポジウムを行った。また、研究成果報告として、自筆原稿の生成過程を発表するとともに、現地調査で得た映像も同時に映し、変わっていくイメージと統一的なイメージを体験できるようにした。森富子氏からも森敦についてご講演をいただいた。 本年は最終年度にあたるため、これまでの研究成果を公開するため、「森敦文学研究の世界」と題したwebサイトを開設し公開した。 URLはhttps://www2.kokugakuin.ac.jp/i_wrks/
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Research Products
(3 results)