2018 Fiscal Year Research-status Report
1940年代の東アジアにおける日本児童文化受容とナショナリズムに関する調査研究
Project/Area Number |
16K02419
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90185538)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 児童映画 / 唱歌 / 郷愁 / 受容 / 宮沢賢治 / 風の又三郎 |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾、中国、韓国で1940年代の資料調査と高齢者に児童文学・文化についてのインタビューを行った。またカナダのブリテッシュコロンビア大学のアジア資料室で、1940年代の児童文化資料の調査を行った。 台湾では、台北にて、国会図書館で在住日本人向けの新聞と貴重書として所蔵している宮沢賢治の全集を調査し、蔵書の年代を調べた。高齢者のインタビューでは、親しみを抱いた日本人教師の影響により日本文化への愛着を確認した。中国では、朝鮮族自治州の中国・延辺で、延辺大学図書館および公立図書館で、1940年代の日本の児童文化資料を調査し、高齢者に児童文化についてのインタビューを行った。昨年度インタビューを行った高齢者に、不明な点などを含め掘り下げるものであった。今回は、とくに現在も記憶に残っている唱歌や童謡を記録した。韓国では、国立中央図書館で資料調査し、これまで閲覧することができなかった宮沢賢治の資料の多くを調査することができ、研究を進めることができた。国立中央図書館の貴重書のデジタル化がすすみ、日本の韓国文化会館でも一台のみパソコンで閲覧可能であることが確認できたため、調査を続けることが可能である。また、水原で老人ホームの集会に足を運ぶことができた。 台湾、中国、韓国でのインタビューにおいて、その後、日本語に接触する機会がない場合は、おおむね、幼少時に受けた日本の文化についての愛着も持っていないことが確認された。また、カナダのブリテッシュコロンビア大学のアジア資料室で、1940年代の児童文化資料があることが予備調査で確認できたため、さらなる調査が課題となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料調査では、図書館の蔵書で該当する資料が少ないところもあったが、老人ホームを含め、高齢者のインタビューの機会に恵まれ、1940年代の児童文化の受容状況を知ることができたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
韓国における日本の児童文化資料の調査とブリテッシュコロンビア大学のアジア資料室の調査を中心に行い、著作として、成果を出す。
|
Causes of Carryover |
インタビュー調査が増えたため。研究課題である1940年代に小学校教育を受けた人へのインタビュー対象者は87歳以上の高齢であるため、高齢者の体調を鑑みながら、インタビューを実施する必要があり、インタビュー実施時期が確定にしくいため。
|