2017 Fiscal Year Research-status Report
ヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容のインターテクスチュアリティ
Project/Area Number |
16K02453
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大島 久雄 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80203769)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シェイクスピア / ヴィクトリア朝 / 視覚的受容 / 帝国主義 / シェイクスピア崇拝 / シェイクスピア絵画 / シェイクスピア俳優 / インターテクスチュアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究プロジェクトの二年目にあたり、シェイクスピア受容のインターテクスチュアリティ研究のケーススタディとしてヴィクトリア朝期シェイクスピア視覚的受容に関して英国ロンドン大英図書館、テイト・ギャラリー、ナショナル・ギャラリー、ストラットフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピア・インスティテュートなどにおいてシェイクスピア俳優舞台図像・シェイクスピア絵画・シェイクスピア版本挿絵の調査を行い、シェイクスピア崇拝とシェイクスピアの帝国主義的な国家的アイコン化などに関する研究を進めている。特に視覚的な情報がシェイクスピア受容に果たした役割に焦点をあてたインターテクスチュアリティ研究としてヴィクトリア朝期だけに限らず同時期の翻案上演や日本におけるシェイクスピア受容などとも比較検討しながら研究を展開している。シェイクスピア俳優に関してはMichael Caines 編, "Lives of Shakespearean Actors" などの資料集成と九州大学英国演劇版本アーカイブによる調査を行っている。 関連する研究成果は10月27日長崎大学における英文学会九州支部第70回大会において招待研究発表(題目:「『テンペスト』とファースト・フォリオのジェームズ朝的インターテクスチュアリティ」)を行った。 研究成果の社会還元として市民対象九州大学芸術工学部公開講座「名優で楽しむシェイクスピア」(11月11日)を開催し、受講者アンケートによると好評を得た。 関連するシェイクスピア受容研究に関して5月でマニラで開催される Asian Shakespeare Association 国際学会において発表することが決定しており、7月にデュプロブニクで開催予定の Psychology and Art 国際学会においてもヴィクトリア朝シェイクスピアの視覚的重要に関する研究発表が受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた英国ロンドンの大英図書館、テイト・ギャラリー、ナショナル・ギャラリー、ストラットフォード・アポン・エイヴォンのシェイクスピア・インスティテュートなどにおけるシェイクスピア俳優舞台図像・シェイクスピア絵画・シェイクスピア版本挿絵の研究調査と資料収集が進み、研究成果は10月27日長崎大学における英文学会九州支部第70回大会において招待研究発表(題目:「『テンペスト』とファースト・フォリオのジェームズ朝的インターテクスチュアリティ」)を行い、現在、プロシーディング掲載概要を執筆し、論文化して学会誌に投稿する作業を進めている。 研究成果社会還元としては市民対象九州大学芸術工学部公開講座「名優で楽しむシェイクスピア」を開催して好評を得た。 関連するシェイクスピア受容研究に関して5月でマニラで開催される Asian Shakespeare Association 国際学会において発表することが決定しており、7月にデュプロブニクで開催予定の Psychology and Art 国際学会においてもヴィクトリア朝シェイクスピアの視覚的重要に関する研究発表が受理されている。研究発表や論文により研究成果を出していくための今後の研究のための基礎が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究に関しては、平成28年度・29年度に実施したシェイクスピア視覚的受容資料収集調査とそれらに関する分析研究の成果を踏まえてインターテクスチュアリティの観点からケース・スタディと視覚的受容に関する体系的な分析をさらに深める。今年度もシェイクスピア俳優の伝統とシェイクスピア崇拝がどのように歴史主義的スペクタクルの上演様式やシェイクスピア絵画などの視覚的表現につながったのかを検討する。特に焦点を当てたいのはヴィクトリア朝シェイクスピア受容に見られる帝国主義的な眼差しであり、歴史学・政治学的な知見を援用しながら、これらがシェイクスピア俳優の演技や上演様式に影響をおよぼし、デヴィッド・ギャリックに始まるシェイクスピア俳優の伝統形成の中で、シェイクスピア・ジュビリー、シェイクスピア・ギャラリー、万国博覧会、挿絵入り版本出版、視覚的娯楽技術の発達などともリンクしながらヴィクトリア朝シェイクスピア視覚的受容が成立したのかを明らかにしていく。 本年度に重点的にケース・スタディは、インターテクスチュアリティの観点からシェイクスピア俳優伝統とラファエロ前派などのシェイクスピア絵画やシェイクスピア版本挿絵を結び付けた研究であり、黎明期映画技術が生み出したシェイクスピア無声映画の世界にもつながっていく絵画・挿絵におけるシェイクスピア視覚的受容研究を行う。
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Research Products
(3 results)