2017 Fiscal Year Research-status Report
文学作品のメディア間翻訳とデジタル・ファンダムによる創造と消費に関する研究
Project/Area Number |
16K02463
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
南 隆太 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (60247575)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シェイクスピア / アニメ / ゲーム / ポップカルチャー / マンガ / ファン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、本研究2年目の区切りとして、国際研究集会を開催し、主に海外の研究協力者との意見交換と最終年度に開催を予定している国際学会の開催に向けた打ち合わせを行った。 具体的には、2017年10月28日と29日に東京経済大学において、アメリカ、イギリス、フィリピン、台湾よりRichard Burt (University of Florida, USA)、Yilin Chen (Providence University, Taiwan)、Judy Celine Ick (University of the Philippines)、Ronan Paterson (Teesside University, UK)の4名の研究者を招き、International Shakespeare Forum in Tokyo, 2017: Popular Shakespeares on Page, Stage, TV and Screenを開催。さまざまな研究発表とディスカッションを2日間にわたって行った。本研究申請者の南は、そこではWhat's in a name?: Shakespeare and the Japanese Pop Cultureと題して、主にテレビアニメとモバイル・ゲームにおけるシェイクスピア利用と消費の構造について研究発表を行った。 また本研究プロジェクト最終年度に開催を予定している国際学会については、今回来日した研究協力者であるイギリス・ティーサイド大学のRonan Paterson上級講師と連携をして、イギリスでの国際学会の共同開催を前提に、広く世界中の研究者との協働的研究の推進とその成果発表としての出版について打ち合わせを行い、準備に取り掛かっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は文学作品のポップ・カルチャーにおけるメディア間翻訳とファンダムについての研究を目的としている。シェイクスピアをはじめ文学作品あるいが文学作品の登場人物や作者がアニメやゲームをはじめ多様なメディア間で再創造され消費されるプロセスをファンとの関係から検討するため、2017年度はゲームに関する研究に注目して準備を進め、当初の予定通りに海外の研究者の助言を得ながら進めることができた。ただし、ゲームをはじめポップ・カルチャーで再創造された文学関連作品の普及の在り方が、あまりにも急速でその国際的広がりについては予想を超えるところがあり、十分にカバーできていない面がある。その結果として資料の収集が追い付いていないところがあるが、主にアジアの若手研究者の協力を得られるように連携を広げつつあり、概ね順調に進んでいると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究最終年度となる2020年度には、本研究テーマを中心テーマの一つとする国際学会の共同開催を英国で予定しており、そのために研究協力者との連携を一層拡充する予定である。 研究対象となる文学作品とその関連事項のメディア間の移動の在り方が大きく変わってきており、特に従来のようなインターネット上のファンサイト以外に、モバイル・ゲームとネット配信の拡大などにより商業的な作品がグローバルに拡大している現在、研究調査の在り方自体を国際的なネットワークの下で行う必要が増えてきている。特に海外の若手研究者の協力を取り付け、意見交換をできる体制を作るため、フィリピン大学の若手研究者との連携を現在準備しており、20年度の国際学会にも参加を求めていく予定である。 研究責任者としては、メディアミックスと呼ばれる形でのテクストの流通と消費の中で文学テクストがどのように断片化しているのかを、主にモバイルゲームなど最近のメディア研究についての知見を取り入れながら進めていく予定である。
|