2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K02466
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
本橋 哲也 東京経済大学, コミュニケーション学部, 教授 (20230047)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カニバリズム / 言説 / 植民地主義 / 魔術 / 信頼 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、これまで2年間の研究実績に基づき、とくに現代文学を対象として、カニバリズム言説の研究を行いました。具体的な成果としては、最近の「新しい人類学」と呼ばれる研究動向を、ヴィヴェイロス・デ・カストロらの著作に基づいて、トゥピナンバにおけるカニバリズムについて知見を深めました。また、2018年に亡くなったアメリカ合州国のファンタジー作家であるアーシュラ・ル・グィンの作品を、魔術とカニバリズムを結びつける主題として「信頼と危険」という契機に注目して、日本英文学会で研究発表を行い、それをもとに論文を執筆しました(「信頼と危険の詩学--ル・グィン、魔術、カニバリズム」『人文自然科学論集』第144号、61-83頁)。この研究課題に関しては、まだ探求すべき主題や題材が多く残されており、研究成果の発表も予定しておりますので、1年間の研究延長期間を申請し認めていただきましたので、2019年度も継続して「世界文学におけるカニバリズム言説」の研究を続けていきたいと考えております。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度にいたって、とくに「新しい人類学」の学問動向や、現代の文学・映画・芸術等の題材をめぐるカニバリズム言説について検討すべき課題が新たに多く増えてきましたので、研究課題の目的についてはまったく変更の必要はないと考えておりますが、当初の予定よりも「やや遅れている」という状況判断です。よって1年間の延長期間を申請しお認めいただきましたので、2019年度もこの研究課題での研究を続けて成果を発表していきたいと考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに上で記しましたように、カニバリズムの実践および言説については、「新しい人類学」の学問動向が最近注目され、大変重要になってきております。よって、今後もその動向を注視しながら、研究課題の遂行と完成にどう生かしていくのかが、研究実施の延長期間としての2019年度の課題の一つとなります。また現代の文学・映画・芸術等の題材におけるカニバリズム言説についても、いまだに多くの検討すべき課題がありますので、その点についても研究を継続して、学会発表や論文執筆を行っていきたいと考えております。
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