2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K02476
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
服部 慶子 大阪大谷大学, 人間社会学部, 教授 (00469511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 典之 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50172937)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 火をつけるという表象 / ブランウェル・ブロンテ / genius |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の業績で一番重要なものが、ブロンテ姉妹たちの兄弟であるブランウェル・ブロンテという従来あまり着目されなかったが、重要な詩人についてのものだ。8月に連合王国に海外出張し、ロンドンの大英図書館とオックスフォードのボドリアン図書館で、ブランウェルの希少な図書を徹底的に読み、不当に過小評価されてきたこの詩人の重要性について確信するに至った。本研究のテーマである「火をつける」という行為に関しても、姉たちの小説と同じく、重要な記述を多く発見することができた。 この基本読解を元に研究を深め、10月14日には、中央大学で開かれた日本ブロンテ協会大会のシンポジウム「ブランウェルの人と芸術」において司会を務め、自身も「ブランウェルと微かな命の灯」というタイトルで発表を行った。ここではブランウェル作品に頻出する超自然的な存在geniusに着目し、ブランウェルにとって重要なこの存在は、ほぼ常に「火」に関係したものとして記述されているという、従来研究では捉えられてなかった事実を指摘した。この発表に基づいて、「ブランウェル・ブロンテにおける火の表象」という論文を大阪大谷大学紀要第52号に発表した。 また、本研究を含む内容である「英語で広がる世界」という講演を行い、啓蒙活動を行った。対象は研究者ではなく、倉敷市立児島中学校の学生であったが、立志式というセレモニーでの記念講演であったことは意義深い。岡山県では将来の決意や目標などを明確にすることで、大人になる為の自覚を深めるために立志式を行うが、将来の目標を定めるとする重要な式典で英文学及び本研究の意義を訴えることで、若者に啓蒙ができたというで、彼ら彼女らの向かう選択肢の一つを提示できたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマに関して、本年度は当初計画通り、ブロンテ協会の全国大会でシンポジウムを開くことができ、本研究テーマに関しての新たな発見と考察を発表でき、本研究テーマの重要性を広く学会に訴えることができたことは、重要な成果であった。さらにそれを論文として公表できたことも含め、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究の最終年度になる。ブロンテのみならず、他のヴィクトリア朝小説における「火をつける表象」をイギリス出張によって探りたい。さらに、それを論文にする。広い視野から、また複数の作家において、このテーマが重要であることを示し、研究の締めくくりとしたい。
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Causes of Carryover |
本年度は適切な書物・物品が見つからなかったので、次年度使用額が生じた。使用計画としては、パーソナルコンピューターなどの購入等を考えている。
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Research Products
(2 results)