2018 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ文学における科学技術とヒューマン・アイデンティティの変容
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16K02520
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
新田 よしみ 福岡大学, 国際センター, 講師 (80465723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥川 絹代 近畿大学, 産業理工学部, 教授 (20740674)
下條 恵子 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (30510713)
C.SCOTT PUGH 西南学院大学, 文学部, 教授 (60244795)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | テクノロジー / アイデンティティ / オートマタ / 写真 / 音楽 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度前期は例年通り月に一度の研究会を実施し、互いの研究分野に関する知見を深めつつ、研究に関する文献を精読することで知識を深めた。夏休みから後期にかけては、2018年度12月に研究代表者及び研究分担者が所属する学会例会に於いて実施したワークショップの準備を各自行った。 12月のワークショップでは、Retrospectives on Technology in American Literature: Art and Transformation of Identityと題し、19世紀末に起こった技術革新が、19世紀から20世紀、そして21世紀の文学表現に与えた影響を、各自が研究する作家の作品とその周辺作品に焦点を当てて発表した。 研究代表者は、19世紀末の産業革命期に、人間を表象する際にオートマタや人造人間が用いられるようになったこと、それがある特定の国に特徴的なのではなく、アメリカやヨーロッパ、そして日本といった多くの国々で見られた現象であることを、様々な文学作品から引用し発表した。ついで、研究作家の短編作品では、オートマタや幻影が、どのように人間を「描いている」かについて論じた。 研究分担者はそれぞれ、「音楽」「写真」「筆跡」「アーカイブ」といったテクノロジーが、文学作品の中でどのような取り扱われ方をし、それらがどのように個人のアイデンティティーを形作っているか論じていった。 19世紀のテクノロジーが20世紀、そして21世紀の文学作品に与えた影響について、特定の年代に特化せず横断的に論じた研究発表であり、アメリカ文学研究にとって意義深いものとなったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、12月にワークショップを行うと計画をたて、その準備の一年とした。 前期の期間に勉強会を月一度開催し、夏休みからは各自の研究を進めた。 そのため、研究計画通りに推移することができたと考える。 しかしながら、研究代表者は、2018年度に出産、産休などにより、論文の発表ができなかった。 各研究分担者は、それぞれ論文の執筆や研究に時間を充てることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に論集を出版、もしくは、それぞれ大学紀要論文への論文投稿を計画している。 5月の時点では、研究論集を出版する方向で話し合いを進めており、6月に本の仮タイトルと全体的なテーマを話し合う予定である。 他には、紀要論文への投稿と、所属する学会での口頭発表の実施を予定し、研究を進めている。
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Causes of Carryover |
研究代表者の出産産休に伴い、予定していた海外出張が行えなかったためである。 また、2019年度に論集の出版を計画しており、そのため予算の使用割合に変更が生じた。さらに、研究機関を一年間延長したので、2019年度に使用できるように予算を残しておいた。
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