2019 Fiscal Year Annual Research Report
Race and Marriage in the Works of F. Scott Fitzgerald
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16K02521
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高橋 美知子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (90389388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スコット・フィッツジェラルド / 結婚 / ゼルダ・フィッツジェラルド |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、スコット・フィッツジェラルドの妻ゼルダ・フィッツジェラルドの作品や書簡類を精査し、従来提示されてきたゼルダの人物像、およびスコットとの関係の再考を試みる研究に従事した。具体的な成果としては、2019年9月に行われた日本F. スコット・フィッツジェラルド協会全国大会において、「ゼルダ・フィッツジェラルドの短編群における結末の諸相」というタイトルで口頭発表を行なった。ゼルダの短編に「女性の結婚と仕事」という従来認識されていなかった共通テーマがあることを発見し、しばしば曖昧・唐突な印象を受けるゼルダ短編の結末を「結婚と仕事」という観点から分類した結果、短編群がいくつかのグループに分類できることが分かった。さらに、時系列を追いながら短編をグループごとに検討し、ゼルダの書簡やインタビューを補助線に用いて考察することで、ゼルダが従来言われてきたように自身のキャリアと夫からの独立を強く願っていたわけではなく、女性が仕事を持つ重要性を認識しつつも、同時に現実の生活を維持しつつ、それを出来るだけ良いものにしようとする堅実な人生観を持っていたことを指摘した。
この発表原稿をもとに論文「ゼルダ・フィッツジェラルド再考―忘れられた短編群から読み解く新しいゼルダ像」を執筆し、現在投稿中である。
2019年度の研究を通じて、従来お互いの才能に嫉妬しあったと見なされてきたフィッツジェラルド夫妻の関係性を見直す必要性が浮上した。今後の研究課題の一つとしたい。
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