2016 Fiscal Year Research-status Report
Migration, Memory, and Literature: Mapping Japanese Nationalism in Nikkei Communities in Peru, Bolivia, and Argentina
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16K02612
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
間藤 茂子 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (90579468)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 南米文学 / Pedro Shimose / Augusto Higa Oshiro / Carlos Yushimito / 移民文学 / 国家主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の目的は、明治維新後に日本の国家主義、愛国主義がどのように生まれ構築されたのか、そしてその構築された国家主義、愛国主義像がどのように日本から南米へ渡って行き、どのように南米で形を変えて構築されていったのかを探求することであった。そのため、明治日本国家主義、愛国主義、南米移民と国家主義等に関する資料収集を始めた。具体的に言うと、アメリカ、ウィイスコンシン大学の図書館で南米移民と日本の国家主義の資料を収集することができた。また、この分野を検索中にボリビア日系人作家ペドロ・シモセ著作の日本では手に入れることが難しい短編集、詩集を閲覧することができた。収集した国家主義、愛国主義の理論を全て完読、内容を整理するには至らなかったが、そのプロセスを始めることはできた。これと並行し、ペルー人作家アウグスト・ヒガ・オシロの2014年に発表された小説『GAIJIN』を分析した論文を書き上げた。これから編集、校正し2018年にバルセロナで開催予定のLASA(Latin American Studies Association)で発表するため発表審査会へ応募する予定である。さらに、同作家ヒガ著作の短編小説2本の分析、編集、校正を終了し、論文の1本は査読付き学術誌Cincinnati Romance Reivewで発表されることが決まった。また論文のもう1本に関しては、ニュージーランド、オークランドMassey University で開催されたAiLaSA (Assoc. of Iberian & Latin American Studies of Australasia)学会で発表し、その査読付き論文報告書として発表することが決まった。その他出版社Salem Press (US)の南米文学関連の図書で日系ペルー人作家カルロス・ユシミト著作の短編小説の分析論文も発表することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
継続中の他の関連研究課題があり、論文をまとめた書物を出版する計画がある。本来は日系ペルー人作家著作の作品をまとめた選集を出版する予定であったが、移民移住の記憶のテーマを焦点に置いた作品分析、批評にすることにした。この変更のため、継続中の図書出版に関わる作業が遅れている。その継続中の課題と並行して本課題に取り組んでいるので企画書の計画どうりには研究が進んでいないのが現状である。また、日系ボリビア人作家ペドロ・シモセ著作の作品の分析を始める予定であったが、ペルーで行った講演後(2016年3月)、現地で交流した研究者から日系ペルー人作家に関連する新情報を得ることができた。特に日系ペルー人詩人のホセ・ワタナベの研究者から詩人の親族との交流の可能性を知らされ交流の連絡網を築くことに時間を費やした。また、ワタナベの詩集に関する研究は盛んであり、2016年1月バンコクで開催された学会でワタナベの研究者と意見交換することができた。そこから新しい研究プロジェクトのアイディアが生まれワタナベの詩集をインターディシプリナリーなアプローチから分析する共同研究をすることになった。さらに、今まで知識がなかった他の日系ペルー人作家のことも知ることができ、どのような作品を出版しているのか研究を始めた。加えて、日系ペルー人の日本への逆移民を描いた小説を出版した作家より連絡があり、最新の短編小説を紹介された。まとめると、日系ペルー人作家、それに関連する情報の整理、新共同研究企画を優先順位にしたため、日系ボリビア人作家ペドロ・シモセの作品に関する研究に取り掛かるのが遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、まず国家主義論、愛国主義論に関する知識を増やし深めることと、日系ボリビア人作家ペドロ・シモセの作品の収集と分析に力を入れる予定である。日本からボリビアの移民に関する資料収集を沖縄、アメリカ、ボリビアで行う。特にボリビアへ渡った日本国家主義論、愛国主義論、ボリビアの日本人共同体の構築とその変形化を取り扱った図書、論文はアメリカのウィスコンシン大学または他大学の図書館で収集したいと考えている。また、ボリビアに建設されたコロニアオキナワの共同体を訪問し現地で移民史に関連する情報を集めたい。さらに、シモセは現在スペイン、マドリードに在住しているのでマドリードで対談をする準備と交渉をし、対談を実行させたい。また、日本、アメリカ、ボリビアでは入手できないシモセの作品がスペイン国内の大学図書館にあるので、資料収集をする予定である。最後に、2018年にバルセロナで開催されるLASA (Latin American Studies Association)で論文発表を行うため2017年に発表される参加募集に応募する。
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Causes of Carryover |
研究発表を行うため参加したい学会が2017年3月にアルジェンチン、ブエノス・アイレスで開催されたが、当該補助金残高40,979円と個人研究費、他の補助金と合わせてでも、旅費、宿泊費の予算が大幅に超えてしまい研究発表を断念した。当該残高は研究発表のために補助しようと考えていた額であり2017年度に繰り越し、2017年度に生じる予定の旅費に当てたいと考えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アメリカ、スペイン、ボリビア、ペルーへ研究出張するため、今年度の予算に追加したい。
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