2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical description and analysis of polysemy and grammaticalization in verbs: propositional meaning, non-proposisional meaning, and view point
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16K02652
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
日高 俊夫 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (50737525)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 特質構造 / 命題的意味 / 非命題的意味 / 慣習的推意 / 複合動詞 / 複雑述語 / 構文 / レキシコン |
Outline of Annual Research Achievements |
まず本年度の成果について述べる。日本言語学会第164回大会(2022年6月18、19日)において、「語彙と語用のはざまで」と題して、本研究課題のテーマでもある語彙的意味と語用論的意味についてのワークショップを企画・運営した。参加者および発表題目は次の通りである。 中谷健太郎(コメンテーター)、澁谷みどり「動詞「掘る」の多義性について」、木戸康人(3 種類のkko ―接辞と慣習的推意の接点―)、日高俊夫「「普通においしい」は何が普通なのか?」、森山倭成「節周縁部と「じゃないか」系表現」 また、本WSと同第165回大会WS「レキシコンの輪郭:派生の領域とインターフェイス」(代表:工藤和也)のメンバーを中心に、発表内容を発展させた論考を含む論文集『レキシコンの意味・統語の相互作用』(仮)(岸本秀樹・日高俊夫・工藤和也 編著、開拓社)を2024年に出版予定である。さらに、2023年出版予定の『構文形式と語彙情報』(仮)(岸本秀樹・臼杵岳・于一楽 編著、開拓社)において「英語の軽動詞関連形式における軽動詞性と構文性-give を主動詞とした文について-」を収録予定である。 次に研究期間全体の成果について述べる。日本語では、開始付近を表す「V-始める」「V-かける」「V-だす」「V-てくる」、終了付近を表す複合動詞として「V-切る」「V-ぬく」の意味・統語構造を分析した。英語については、イギリス英語における口語表現とされる所有を表すhave gotに関する研究と、上述の軽動詞構文についての研究を行い、両形式とも、命題的意味に加えて発話行為に関わる意味を備えているという分析結果を得た。 期間全般を通して以上のような成果を得た。当初予定していた歴史的変遷に関する考察まで至らなかったことは反省点であるが、英語に関する分析および関連する書籍出版まで漕ぎ着けたことは成果であると考える。
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