2023 Fiscal Year Annual Research Report
Developing diachronic research on Yukaghir based on empirical data
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16K02675
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 教授 (20203672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ユカギール語 / 通時的研究 / 電子コーパス / 接語の歴史的発達 / 通時統語論 |
Outline of Annual Research Achievements |
帝政ロシア時代の民族学者ヨヘリソン(Waldemar Jochelson)による19世紀末から20世紀初頭にかけてのユカギール語の記録、およびそれに関する資料の収集は、把握している限りにおいて完了した。すでに収集しているヨヘリソンの著作―ユカギール民族誌(1926年出版)およびユカギール語民話テキスト(1900年出版)―に基づいて、ユカギール語の記録の電子コーパス化を継続して進め、ユカギール民族誌収録の民話テキストについては電子コーパス化を完了した。 以上と並行して、これまでのユカギール語の記録を資料として、当該時期のユカギール語の文法構造を共時的に分析・記述する作業を継続して行った。資料の一部をさらに精査したことにより、節連鎖構造のうち、特に副詞的機能による節によって構成される節連鎖構造の歴史的発達について新たな知見を得ることができたので、論文を執筆して投稿した。また、コリマ・ユカギール語の記述上つねに問題となる長母音の音韻論的解釈の様々な可能性を検討する論文を出版した。 すでに高い研究水準に達している英語史、および言語類型論的視点からの通時統語論について、経験的および理論的な文献を追加的に収集し、理論的考察においていささかの進展を見ることができた。 今年度は延長された研究計画の最終年度にあたるため、昨年度まで研究のとりまとめの積み残しの解消に最大限取り組んだ。出版のための財源を確保することが困難だったため、以前から計画していた単著の出版には至らなかったが、その骨子を論文にまとめて発表した。今後はこの論文の趣旨をブラッシュアップするとともに、内容の統一性に配慮して改訂を進め、来年度における単著の出版に努力していきたい。
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