2016 Fiscal Year Research-status Report
ティフィナグ文字を併記した『ベルベル語辞典（日本語-タマズィグト語）』を編纂する
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16K02703
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| Research Institution | Soka University |
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Principal Investigator |
石原 忠佳 創価大学, 文学部, 教授 (10232331)
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2016-10-21 – 2019-03-31
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| Keywords | ベルベル語諸方言 / ティフィナグ文字 / ベルベル語諸方言 / 音韻的弁別特徴 / Tifinagh / 口語の文字化 / アラビア語とベルベル語 / Tamazight |
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| Outline of Annual Research Achievements |
近年欧文で発表された文献を、スペイン高等学術研究所図書館（CSIC)において閲覧し、その後は在モロッコ テトゥアンAbdelmalek Essadi大学付属レルチュンディー研究所図書館に移り、館内に保存された原本写本と照合した。それらを手がかりに、Tetouanからal－Hoceimaにいたる５つの集落でフィールド・ワークを実施し音声資料を作成した。 インフォーマントによって提供された音声データベースを随時分析し、音声資料を弁別特徴(distinctive features)に基づいて整理した。期間中、研究調査の一環として以下の活動を実施した。
１）今回の研究協力者である21世紀リーフ・ベルベル協会（Asociacion de Siglo XXI）Yassin Errahmouni 会長に依頼し,スペイン教育省付属図書館での調査結果も参照し、辞書編纂のための全体的な枠組みを決定した。
２)2016/10/10～18 ラバトで開催されたモロッコ王立アマズィグ文化研究所（ＩＲＣＡＭ）年次大会に参加し、同研究所と日本の研究機関との学術交流を、今後積極的に推進していく計画について確認した。１７日の研究発表では、拙著『ベルベル語とティフィナグ文字の基礎』の内容について紹介した
３）20173/16～19 南モロッコのTata で開催されたモロッコ・ベルベル国際会議にオブザーバーとして招聘を受け、拙著『ベルベル語とティフィナグ文字の基礎』を発刊した主旨を紹介した。今回の会議にはモロッコ国内のベルベル系住民のほかに、アフリカやヨーロッパの研究者が参加し、分科会での意見交換を通じて、ベルベル復興運動が世界各地で展開されている状況を確認できた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回のフィールドワークで直面した課題は、ベルベル語諸方言のバリアントが想定以上に豊富であり、辞書を編纂するにあたっては以下の問題点が当面の課題となった：１．ベルベル語の地域格差のみならず、個人差による言語形態（Register)の分別を明らかにする必要性があること ２．ベルベル語には「穀物」や「香料」を命名する語彙が豊富であり、日本語との対応が極めて困難なこと ３．本来のベルベル語の語彙が、アラビア語などの隣接言語の影響を多く被っていること ４．フランス語などからの借用語をティフィナグ文字で表記する際に、表記法上の一定の規則が確立されていないこと ５．フィールドワークを実施するにあたって、南モロッコのマラーケシュ以南のサハラ砂漠一帯の地域では、人口２０００人規模の集落名の記載が地図上に欠如していたこと ６．ベルベル人の間では、ベルベル文字（Tifinagh)の読み書きができない住民が多数を占めていること
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| Strategy for Future Research Activity |
１．フィールドワークで収集を計画している音声資料を、モロッコ王立アマズィグ文化研究所（ＩＲＣＡＭ）に提出し、同研究所 El Barkani 研究員の立会いのもとで現代ベルベル語の語彙として必要不可欠なものを選定する作業を行う。
２．また同研究所がホームページに公開する情報を随時参照して、（Institut Royal de la Culture Amazighe：http://www.ircam.ma/)ベルベル言語・文化関連の諸学会の開催日程および近年の出版物を確認する。
３．平成２５年度から今日までの研究調査において、共同研究者として情報提供をお願いしてきたYassin Errahmouni（リーフ21世紀ベルベル協会会長）とさらなる学術関係を構築する目的で、リーフ21世紀ベルベル協会：http://www.rifsiglo21.org/ との連携を図る
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| Causes of Carryover |
平成２８年度は本務校の特別研究員となっていたため、国外での滞在期間が長期にわたっていることから２９年度繰越予定額も見込んで、交付金を若干多く見積もって申請しました。また予想以上の円高が続き滞在費を削減できたため、実支出額の累計額が当初の予定額に到達しませんでした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成２９年度は当初から交付額を、２８年度のほぼ1/2に見積もっています。したがって繰越金を使用すると前年度の交付総額の2/3が計上され、ほぼ予定どおりの金額となります。
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