2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02751
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
新野 直哉 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変化研究領域, 准教授 (30218086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 行洋 花園大学, 文学部, 教授 (00243139)
梅林 博人 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (30264576)
島田 泰子 二松學舍大學, 文学部, 教授 (50294278)
鳴海 伸一 京都府立大学, 文学部, 准教授 (90611799)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本語史 / 近現代 / 新語・新用法 / 言語規範意識 / 言語変化 / 誤用 |
Outline of Annual Research Achievements |
9月に国立国語研究所で研究成果発表会を行い、代表者の新野と、共同研究者の鳴海が発表を行った。新野の発表は、平成1~27年の新聞記事における、「“全然”は本来否定を伴う副詞である」という言語規範意識に関する記事を整理し、各紙ごとの特徴や論調の通時的変化などについて考察を加えたもので、これに基づく論文「平成期『読売新聞』の記事に見られる副詞“全然”に関する言語規範意識」を3月に査読誌に掲載した。研究書・研究論文よりもはるかに多くの人々の目に触れる新聞記事に示された規範意識の考察は、研究実施計画にうたった、この事例に関する一般国民の規範意識の研究のうえでも重要である。 また鳴海の発表「程度副詞「結構」の成立と展開 」は、研究実施計画に掲げた副詞を中心とした研究の一環で、程度副詞「結構」がどのように意味変化していったかを、量的意味・評価的意味との関わりから考えたものである。 なお新野は、別の「新語・新用法」の事例に関し、8月に、術語“慣用句”・“接頭辞(語)”が一般メディアで使用される際の意味について外部学会で発表し、3月には“世間ずれ”という語の「誤用」に関する研究ノートを雑誌に発表した。 梅林は、研究実施計画通り接続詞“しかし”について研究した成果を外部学会で10月に発表し、その内容を論文化して3月に「『浮雲』の逆接の接続助詞と併用される「しかし」 ―位相、表現内容からの考察―」として発表した。 橋本は外部学会で3件の研究発表を行った。6月の「日本語史上の〈れ足すことば〉」1月の「「食材」の語誌」は、いずれも「研究の目的」に示した「新語・新用法の記述的研究とそれをめぐる言語規範意識の研究」の一環であり、「新しい資料の活用」も行っている。3月の「複合語「よるあるき/よるありき(夜歩き)」の存否」は、古代から近代までを視野に収めた語誌研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公開の研究成果発表会は予定通り1回、9月に開催できた。ここで新野は、計画に沿って、副詞“全然”に関する発表を行い、3月に査読誌に論文として掲載した。また別の事例として“世間ずれ”という語の「誤用」に関する研究ノートを3月に発表した。また、梅林は、計画通り接続詞“しかし”について研究して外部学会で10月に発表を行い、その内容を論文化して3月に発表した。 一方、ほかのメンバーに関しては計画の趣旨に沿った口頭発表はあったものの、年度内の論文化には至らなかった。 以上のように、成果の発表はある程度行えたものの、メンバー全員が実施計画通りの成果をあげることはできなかったということで、「やや遅れている」という評価が妥当と考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は初年度ということもあり、3人のメンバーが論文の形で成果を発表することができなかった。今後はメンバー間の連絡をより密に行い、29年度・30年度は全員が口頭発表のみでなく、論文の発表を行うことを目指す。さらにそれぞれが新しい資料の探索・紹介・活用をも行っていく。 公開の研究成果発表会は29年度は8月に京都で開催し、ここではメンバーのうち2名の発表に加え、プロジェクトの趣旨に添う内容の大学院生の発表も行う予定である(これは大学院生に学外での発表機会を提供するという意味もある)。 また30年度には5月開催の日本語学会春季大会で共同発表を行う方針である。こちらの申し込みは30年1月締め切りなので、それに向けて打ち合わせを29年8月の研究発表会と11月の日本語学会の際に行う。 さらに30年度は東京で研究発表会を開催する。そして、年度末には報告書をまとめる。
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Causes of Carryover |
研究分担者の学会出張旅費について、分担金を支出したところ、各人の分が少しずつ残り、合計がこの額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度助成金の使途は、29年度中に予定されている春秋二回の日本語学会・関連学会、さらに8月開催の研究発表会のための研究分担者の旅費が中心である。次年度使用額47611円もそのために使用する予定である。
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Research Products
(11 results)