2017 Fiscal Year Research-status Report
習得過程に着目した文法理論による意味的弱動詞の特性の説明
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16K02757
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
鈴木 猛 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00187741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | path preposition / particle / resultative / developmental / semantically light verb / small clause / satellite-/verb-framed / bounded/delimited |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度よりすでに始めたCHILDESの検索及びデータベース化作業を継続した。up/down/out/on/offなどの前置詞・パーティクルを検索し、該当する発話を列挙し、重要なデータを整理中である。CHILDESのデータからTomasello (1992): First Verbsのデータに対する我々の解釈の妥当性を確認できる見込みである。すなわち、英語では経路を表すパーティクルは早い時期から述語として習得され、それが後の文法形成に影響し、二次述語として発達すると考えられる。発達理論的には、経路パーティクル(=satellite)が最初期から習得され、経路はそのままパーティクルが表しながら、動詞が足されていく。文法習得に継続性を認め、理由がない限り前段階の文法の特性が受け継がれ成長するという自然な仮定のもと、大人の英語におけるパーティクルの述語性が帰結として自然に得られると考えられる。動詞が後から習得されるのが事実なら、従来の一般的な動詞と補部という捉え方とはなじまず、非常に興味深い。本研究の成果は、動詞側から見直せば、英語における同文脈での動詞の意味的弱さへと結びついてくるのは必然である。 さらに、パーティクルの中で、境界性を持つup, down, out等の方が、持たないものalong, around等より習得が早いという新たな一般性が見えてきた。述語になりやすいかどうかということと相関があると考えられる。今後考察を深めていきたい。また、日本語習得についてもデータを調べ、当初の予想通り、経路等の概念は最初期から動詞で表すことが見えてきた。軽動詞+satelliteで表すパターンは日本語では生まれないことが予測される。 日本英文学会中部支部第69回大会シンポジウムにおいて招聘発表の機会があったので、収集したデータに基づいて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定より早く検索作業に入ることができ、さらに継続してデータ収集はほぼ終了。現在、整理を進めている。さらに、学会発表の機会があったので、実際に収集したCHILDESのデータに基づいて発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、さらに検索結果の整理・分析作業を進める。
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Causes of Carryover |
端数を無駄に使わず繰り越すことにした。少額なので今年度無理なく使用できる。
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Research Products
(1 results)